雑記帳 二〇二四年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇二三年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇二二年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇二一年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇二〇年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十九年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十八年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十五年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十四年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十三年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十二年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十一年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇一〇年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇九年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇八年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
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橘 
井堂二〇〇九年葉月三十一日

『官僚たちの夏』、オールアップしました〜!!
ふう〜、なにはともあれ、また、ひとつ終わりました。
佐藤浩市さんとは『アマルフィ』で、吹石一恵さんとはNHKのドラマ『風に舞いあがるビニールシート』で、お二人とも続いての共演だったので、今年はなんだかず〜とご一緒でした。
昭和30年代を、今一度生きれたこと、俳優冥利につきました。
まずは、みなさん、おつかれさまでした〜!!!
残りの放送、お見逃しなく。
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橘 
井堂二〇〇九年葉月二十二日

21日は吉祥寺GBでシーナ&ロケッツのライブ!
佐野は、何と、人生初DJを仰せつかりました・・・。
アナログレコードとCDプレイヤーを駆使して、いやはや、何とも忙しいもんですな〜DJというものは・・・。
ノリピーは、余裕で踊ってたけど、ありゃ、薬のせいですかね?
トランス系も、忙しそうな気がするけど・・・。

まずは、客入れからオープニングアクト、4人のガールズバンド、SUPER BABY FACEの登場までの1時間あまり・・・。
な〜んにも考えないで、卓の前で、無心。
とりあえず老舗のロックンロールバンドに敬意を表して、ロックのルーツをたどって行こうと、マディ・ウオーターズの「ローリング・ストーン」から渋く始める・・・。
始まっちゃえば止まらない・・・リトル・リチャード、エディ・コクラン、ジーン・ヴィンセント、バディ・ホリー、デイル・ホーキンス、チャック・ベリー・・・エルビス・・・。
まったくキリがない、R&Rてえものは・・・。
ニール・ヤングがショッキングピンクス率いてロカビリーやってたのとか、デビューのインスト、スクワイヤーズの「サルタン」とかね。
スパイダースの堺正章さんがシャウトする、アニマルズのカヴァー「ブーンブーン」とか、ソニックスとかさ・・・。
で、だんだん60年代も半ばになると、ギターの音もひずんできて、ジミヘンの「ストーン・フリー」、ちょいと珍しいツェッペリンの"TRAIN KEPT A ROLLING"とか・・・。
なんだかんだ言って、あっという間にライブが始まって・・・。

で、オープニングアクト終わってから、ロケッツ登場までは70年代のニューウエイヴ漬け!
PIL、ペルウブ、XTC、DEVO、トーキングヘッズ、コステロ、ラモーンズ・・・ホワイトノイズやらも出て来て、ウルトラヴォックスの「ヤング・サヴェージ」大音量は気持ちよかった〜!!!

SUPER BABY FACEは、マネージャーさんたちも「売り出すぞ〜!!」ってエネルギーがあふれてました。
ショーヤとかプリプリの80年代〜90年代初頭を思いだしました・・・音もファッション同様、周期があるんですかね?
で、大御所、シナロケは、この日も炸裂!
今のメンバー、ホント、最高!です。
シーナも、声、戻ったしね〜凄いです!
泣けたのはデビューシングル、「涙のハイウエイ」!!!
カッコ良すぎ〜!

終わってからのDJタイムは、一気にラウンジ。
ブッカーT&MG’Sの「グリーンオニオン」から始まって、ツインピークスのテーマやら、ベルヴィルランデヴーやウルトラQやゴジラや節操なし!
ゴンザレスやトータスの新譜からも流しました、時代は関係ないですね〜いい曲は・・・。
最後はトリオ・ロス・タバハラスの「スターダスト」。「シャボン玉ホリデー」に捧げて・・・。
50'sから始まって、60年代、70年代、を中心に今年の新譜まで、一気に駆け抜けた、佐野の初DJでありました・・・。

・・・いや、しかし、終わったらヘトヘト・・・。
結局、神経張ってるからな〜バンドのステージや、舞台やるのと同じくらい疲れました・・・ふう・・・。
鮎川さんに、ステージ上でDEVOの「モンゴロイド」や、トーキングヘッズの「サイコキラー」かかって嬉しかった・・・って言ってもらえただけで、もう、それで満足でした。
お客さんたちにも満足してもらえたようではありました・・・同じ空間を共にして、楽しむ・・・そこからですね、何もかも・・・一人で勝手にイッちゃってはいけない・・と初DJから教わりました・・・。
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橘 
井堂二〇〇九年葉月十九日

お盆も終わり、夏休みも終盤・・・今日は、ちょっと涼しいし、なんか落ち着いた気分。
ドラマも最終回の撮影に入るし・・・。

一昨日は、久しぶりに大瀧詠一さんを囲んでの放談会。
これが、またまた、豆腐料理のお店で・・・。
冷っ汁も豆腐が入ってるし、仲田薫子さんの一周忌もお豆腐料理で・・・。
これは、いったい、なんの暗喩ですかね〜?

大瀧さんとは、音楽の話よりも、もっぱら日本映画のお話し・・・いや〜面白かった!
内田樹さんとはナイアガラ繋がりでもありましたが、先月拝聴させていただいた内田樹さんと中沢新一さんとの対談とも通じていて・・・中沢さんのアースダイバーとも共時性があり、興味津々・・・。
相変わらず、色んなことが、繋がってます。

明治時代に日本を訪れたフランスの作家、ピエール・ロチは、初めて日本に上陸した時、蝉時雨が印象的だったそうですが、100年を越えて現代の日本・・・都会でも、この蝉の声・・・。
変わらないでいて欲しいです・・・。

生と死を越えた定点観測の視点・・・がキーワードかな?
豆腐との関連は分かりませんが・・・。

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★窓辺にも蝉が・・・。

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橘 
井堂二〇〇九年葉月十七日

昨日は、谷中の正行院で仲田薫子さんの一周忌。
ご家族や、古くからのお友達と共に、参列させていただきました。
2000年に亡くなった写真家、植田正治のお孫さんで、2004年に鳥取の植田正治写真美術館のトークイベントに呼んでいただいたのが縁で、一気に写真の世界に誘ってもらった恩人です。
佐野の映像作品「つゆのひとしずく」では、十文字美信ならぬ、顏は写ってはいないけれど、植田正治の妻役を演じていただきました。
正行院のご住職は、金子隆一さん。
都立写真美術館の専門調査員でもある金子さんには「つゆのひとしずく」でも大変お世話になりました。
島根県立美術館の蔦谷典子さんと共に、日本の写真の歴史を網羅していらっしゃる方から教わる事は、本当に多いです。
それも、すべて、薫子さんが紹介してくださって・・・。
薫子さんとの縁で惹き込まれた写真の世界は、60年代のロックとの出会いや、70年代に芝居の世界に足を踏み入れたこと、80年代に映画デビューした事、90年代にドラマ漬けの日々を過ごした事と並び、2000年代の大きな出来事でした。
そして、その写真は、映画や、芝居や、ドラマや、文字や、音楽といったあらゆる表現を飲み込んでいるかのようにも思えるのです。
逆に言えば、それぞれの表現媒体は、すべて、写真を含めあらゆる表現方法を飲み込んでいるということに気づかせてくれた・・・とでも言えば良いのか・・・。

法要を終えて、昼食をみなさんと共に、根岸の豆腐料理、「笹乃雪 」さんで。
正岡子規ゆかりの、歴史あるお豆腐料理、絶品!でした。
名物の「あんかけ豆腐」(最初から、あんまり美味しいのでおかわり付き)、云われるだけあって本当に美味しかったです。

猛暑のなかの法事は、まるで小津映画のようでもありました。

帰りに、やはり「つゆのひとしずく」ではスチールを撮ってもらった安珠と、東京駅の丸の内ビルのカフェで久しぶりに語り合いました。
表現の事・・・同じ時代に生きる友人として、語り合える人間がいることの幸せも感じ・・・あらためて薫子さんに感謝!

ところで、こう暑いと食欲も落ちるものですが、お豆腐も美味しかったし、ここのところ、体調がいいので、珍しく料理に挑戦!
・・・といっても、先日、どうしても食べたくなった「冷っ汁」を、即実行して作っただけなのですが・・・。
冷やしぶっかけご飯、この時期に、ピッタリ!です。
簡単そうですが、実は手間がけっこうかかりました。

アジの干物を焼いて、身をほぐして、煮干しを煎って、すり鉢で粉状にして、炒りゴマ擦って、昆布とカツオで出汁取って、白みそあぶって・・・。
出汁にあぶったお味噌溶かして、冷ましてから、豆腐、煮干の粉、ゴマ、オクラ、ミョウガ、しそ、キュウリの薄切り、アジを入れて、また冷蔵庫で冷やして・・・。

ぶっかけご飯も美味しいけど、今朝は、トーストと冷っ汁!
一日、冷蔵庫で寝かせたあとは、また、より美味しくなったような・・・?
マキと八雲からも、「今までオトーサンが作った料理のなかでは一番美味しかった」と、はじめて褒められました〜。
・・・まあ、それだけ、美味しいものが好きなわりには、料理のセンスがなく・・・。
そういった、繊細さに欠けるというのは、表現者にとっては致命的ではないかと思うのですが、まあ、佐野は、ざっくり生きて行こうと思うのですよ。

どんぶり飯、ぶっかけご飯・・・佐野は決して懐石料理や、フルコースのディナーといった俳優ではないことだけは確かなようです。
・・・あ、俳優は素材だからな・・・料理そのものにはなぞらえられないか・・・?

ちくわぶとか好きだけど・・・豆腐、豆腐だな!
豆腐俳優になりたい!
大好きな小津安二郎監督も「豆腐屋は豆腐を作るだけ」・・・と、自らの世界を豆腐になぞらえていましたし・・・。
豆腐自体がメインディッシュになることは少ないけど、「笹乃雪 」さんみたいなお店もあるしな・・・。
・・・この豆腐野郎!豆腐の角で頭ぶつけて・・・なんてこと言われて、生きて行きたい佐野でありました。

・・・ああ、薫子さんの一周忌・・・おごそかに、しみじみと振り返りたかったのに・・・でも、豆腐や味噌作るのって難しそう・・・。
写真と通じるような気がします。
小津映画も「活動”写真”」だし・・・。
無理やりですか?
・・・「写真と豆腐」のお話しでした。

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★冷っ汁に、氷も入れて、さらに冷たくしていただきました。

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橘 
井堂二〇〇九年葉月十五日

夏休みらしい天気が、やっと続いている。
夜は寝苦しいけど、いつもより眠りは深い気がする。
スッキリと早起きする。
こいつは、いいや〜。

お盆、松江に帰ろうと思えば帰れたのだけど、月末にロケで帰るし・・・とか、台風や豪雨、おまけに地震とかもあったし、無理して帰らなくてもいいか〜と。
執筆の仕事もあるし、諸準備アリ・・・ということで・・・。
お墓の掃除とか、気にはしてるんだけど・・・。
母も年取ってきたしね〜。
弟、妹たちもいるけど、お兄ちゃんは、やはり、しっかりしなきゃ・・・と、口ばっかりで・・・。

あ〜窓から風が入って来た。
エアコンなんて、夏の気分を味わうにはもったいない・・・と断言したいとこだけど、モワ〜っと熱がこもった部屋は、やっぱり、たまんない!!
でも、そこは、気分次第で・・・短パンで、リゾート気分・・・そう!車の行き交う音を、潮騒だと思い込んでしまおう!!
とりあえず、ジョアン・ジルベルト聴こう・・・「海の奇蹟」・・・最高です。

青い空、白い雲・・・洗濯物も、どんどん乾くし、気持ちいいね〜!

今夜は、冷っ汁、食べよう〜。
宮崎の・・・ぶっかけご飯・・・魚と焦がした味噌と、胡麻と、ミョウガ、シソ・・・どんなに食欲なくても、これなら食べられる。

島根半島の海に潜りたいよ〜。
泳ぎ疲れたら、貝飯食べてさ・・・昼寝して・・・。

ダメだ!・・・台本読もう。

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★『官僚たちの夏』の影響で、そろばん入手。その手前は、以前入手した計算尺(微積分、対数とか割り出すやつ)・・宝の持ち腐れ。
手前は、小泉八雲全集、第一書房版「知られぬ日本の面影」。大正15年出版。死んだ親父の生まれた年・・・お盆だし・・・。次回の朗読原稿、そろそろ作り始めないとな〜。
・・・なんか、古くからのものが好き。

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橘 
井堂二〇〇九年葉月十一日

地震、台風・・・自然の恐ろしさは、くり返し、云われるけれど・・・「何を、どのように、どのタイミングで・・・」と、災害を避けるためにはどうしたらいいか・・・これは、万事に言える事なのでしょうが・・・。
難しい・・・。

酒井法子容疑者のニュースが、くり返しくり返しくり返しくり返しくり返し・・・テレビからは流されて・・・「清純なママドルのイメージとはまったくかけはなれた、もうひとつの顔を・・・」と恐ろしさを伝えて、トランス状態のクラブでのDJ姿が映し出され・・・。
「(覚せい剤が)部屋にあったのなら、そうなのでしょう」という、強制捜査の結果、酒井容疑者の部屋から出て来た際の言葉も、これが、台本に書いてあったら、どうやって解釈し、どう分析し、どういった心境で発語するのか・・・?と、曖昧で・・・ならば、その曖昧さは何処から来るのか・・・と考えてしまいます。
だって、テレビの報道には、その報道の真意はさておき、曖昧な意味は見当たりませんから・・・。
この、ズレ・・・「伝える」「言葉を届ける」という、人間の、おそらく、とても根本的な、深い行為が破壊されているような気もして・・・。

それにしても、「なんで、そんなバカな事を・・・」とは思っても、振り返れば、世界では同じことがくり返されるばかり・・・。
あらゆる犯罪、自殺・・・冷静に考えれば・・・と、他人に対しては言うけれど、冷静に判断できなくなってしまうから、そうなるのでしょうし・・・。

小学生の時の授業で忘れられないことがあります。
先生が「交通事故をなくすにはどうしたらいいでしょう?」と先生が問うと、生徒の一人が手を挙げる。
「自動車をなくせばいいと思います」
・・・いや、そういうことじゃなくて・・・と、大人は思ってしまいますが、このあまりにも素直な答えに、大切な教えがあるような気がしてなりません。
・・・アブナイけどね・・・じゃあ、人間がいなけりゃ、人間同士の争いや不幸はなくなる・・・といった考えに傾いて行く可能性も出てくるし・・・。
「足るを知る」「分相応」「腹八分目」・・・ゆるやかな身体と、モノの観方が、大切かな?
・・・それができりゃあね〜。

まったく、この・・・え〜昔から〜人間というものは・・・三遊亭圓生の落語でも聴くかな・・・。

学生さんたちは夏休み・・・世間もお盆休みに突入。

小学生の夏休みといえば、妖怪や怪談話にドキドキしたものでした。
ドラマでも、お盆の頃になると、決まって、刑事ものでも幽霊が出て来たり・・・。
・・・ということで、佐野はここのところ、あらためて小泉八雲、読み直したり、怪獣映画を見直したりしています。
佐野にとっては、これが、一番の「おくすり」のようです。
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橘 
井堂二〇〇九年葉月八日

山田辰夫さんの訃報に続いて、また悲しいニュースが・・・。
大原麗子さん・・・。

山田さんは、同年代の俳優ですし、共演させていただいた作品は少ないのですが、気になる俳優さんでした。
何しろ、声がいい!!
淋しげな表情や、常に、不安を抱えているかのようなスリリングな演技に色気を感じていました。
・・・僕は、無神経に他人と接してしまうことが多いので、そんな山田さんに対する、ないものねだりのような憧れもあったのだと思います。
代表作の「狂い咲きサンダーロード」は日本映画のなかでも特筆すべき作品ですし、作品の嗜好こそ違え、当時はまだ少数派だったインディーズ映画からのデビューというのも、佐野のデビュー映画「夢みるように眠りたい」と、どこか(一方的に)重ねあわせて観てしまうところもあり、常に気にかかる俳優さんだったのだと思います。

僕はボンボン育ちだし、いわゆるアウトローの人たちに対するコンプレックスから逃れることができません。
じゃあ、佐野は外れ者じゃないのか・・・と言われれば、まったくもって何処を進んでいるのかわからなくなってしまうことだらけで、応えようもないのですが・・・。
どんな人物で、どこに属していると一般社会といわれるものから見なされようとも、それが何であれ、分け隔てなく、通いあわせることができるのが、表現なのでしょうけれど・・・。
ロックンロール・・・歌舞音曲・・・形骸化されたものでもって、「伝えること」「受け止めること」を、うっちゃって共有するくらいなら、黙っていた方がいいのでしょう。
そういった「スタイル」をもって「表現」として突きつけてくる場に対し、僕はオロオロしながら、作り笑いで応えてばかり・・・だから、また、こうして自己韜晦をくり返してしまうのでしょう。

大原麗子さんとは、20年ほど前にドラマで一度共演させていただいただけですが、「わがまま麗子」の噂にたがわず、現場では監督を責め、カット割りまで始めてしまったのには、驚く・・・というより、呆れてしまって、むしろ微笑ましかったです。
・・・イヤ、ホント、まあ、そういう現場だったのですよ・・・。
理不尽なことに対して、「流す」のではなく、「戦う」・・・「この場が穏便に過ぎていくなら、黙っていよう」・・・といった態度とは無縁の方と察せられました。
僕は、劇中劇の監督の役で、2時間ドラマのサスペンス・・・お定まりの犬吠埼でのロケだったから、なおさらよく覚えています。
大原さんは主演女優役だったかな・・・?
現実とドラマが、「本当に」交錯した時間でした。
ロケの待ち時間に、ふたりでビートたけしさんの話をしたのを覚えています。
丁度、僕が、たけしさんの初監督作品「その男、凶暴につき」に出演させてもらったばかりの頃で、大原さんが「たけしさんってどんな人?」とおっしゃったので、「上品な方でした」と、その時、ふと思ったことをそのままお答えしたのですが、「上品な人かァ〜」と微笑んでいたお顔が忘れられません。
・・・次に、お仕事を、ご一緒なさるからか、とても北野監督に興味があったからだったかは忘れましたが、女優としての触手に触れた時間、怖くもあり、甘美でもありました。
こないだ、石井輝男監督の『網走番外地』シリーズ、全部観たばっかりだったし・・・カワイイんだよな〜!!!
・・・そっか・・・石井監督、好みだよな〜。
佐野も、石井組に出演させていただいた俳優の一人として、大原さんや丹波哲郎さんには先輩として、おおいなる敬意を、あらためて表させていただきたいと思います。
大原さん・・・東宝映画なんかでも、当初は「天然」”マヌケ”キャラで、ポワ〜ンとした演技が、好きでした。
ドラマだと、たしか、佐野周二さんの愛人役だったと思うけど、その、おおらかな、ゆったりとした癒しの演技が印象に残ってます。
老人と若い娘が、家族から離れたところで、一番落ち着ける時間を持っている・・・核家族化が進むなかで、切実だけれども、ユーモアたっぷりのドラマでした。
あれ、よかったな〜。

一方、それにしても、この、日本の芸能界・・・ドラッグやら何やら・・・次から次へと、ニュースに事欠きませんが・・・メディアと権力を前にして、表現者は、どうあっても堂々と、やましくない「正直である身体」が何よりも大切なのだと考えさせられる今日この頃であります。
・・・もちろん、演技も・・・う〜ん、佐野は、よく、こそくな芝居やってるからな〜。
今日も、一言一言、ワンシーンずつ・・・それを打破して、やっていかねば・・・。
やましい演技をすると罰せられる・・・てな法律ができたら、どうなっちゃうんだろう?
・・・あっという間に、社会が、オソロシイ流れに突入していく歴史は、くり返されているからな〜笑い事じゃないや・・・。

それでも、山田辰夫さんや、大原麗子さんの正直な演技が、罰せられることは決してないと信じます。
ご冥福を、お祈りいたします・・・。
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橘 
井堂二〇〇九年葉月五日

ここのところ、よく吉祥寺の映画館バウスシアターに通う。
ボサノヴァ創始者、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト・・・そしてもう一人、詩人のヴィニシウス・ヂ・モライス。
そのヴィニシウスのドキュメンタリー映画『ヴィニシウス〜愛とボサノヴァの日々』を観た。
ボサノヴァ創成期の証言や、貴重な映像満載で、ブラジル音楽ファンならずとも、暑い夏の一日、この映画を観たならば、この半世紀の歴史とともに、音楽と愛の深さの大切さを噛みしめることだろう。
カエターノ、バーデン・パウエル、ジルベルト・ジルらの証言や弾き語りにも、まるでその場に立ち会っているかの様な感覚で、すっかり魅了された。

そんなボッサな夏の一日があるかと思えば、「最恐!怪談夜話」 BS2 8月22日(土) 23時〜24時29分放送)の収録もあり・・・。
佐野と、荒俣宏さん、そして京都に転勤になったばかりの中川緑アナウンサーに無理やり来ていただき、司会進行を・・・。
司会からして、なんだか、妙な取りあわせの絵面でした。
90分間、再現映像なんぞは一切なしで、ただひたすら実際に見聞きした怪談話を語り続けるという、むきだしの番組。
怪談の語り部には、つまみ枝豆さん、元モー娘。の中澤裕子さん、作家の安曇潤平さん、加門七海さん、中山市朗さん、編集者の東雅夫さんといった、強力なラインナップ・・・。
佐野は、霊能力はまったくない・・・のですが・・・まあ、それでも、いくつかは霊体験があるので、ロケ先での霊体験をば・・・。
枝豆さんは話も恐いけど、さすが、たけしさんのお弟子さんだけあって、語りが上手い!
・・・いや、みなさん、誰も上手く話そう・・・などという邪心がなく、「なんとか、この怖い話を、信じてもらいたい、分かってもらいたい」と、語りかけるのです。
・・・先週、佐世保で小泉八雲の朗読を終えたばかりなので、「語り」の大切さをしみじみ感じた一夜でもありました。
安曇さん、加門さんは、とつとつと語る語り口が、もう、それだけで臨場感があり・・・とつとつと語る・・・しかないのかもしれません・・・伝えるには・・・。
中山さんは、もう、落語家さんはだしの語りの流暢さなのですが、「上手く喋ってやろう」・・・というわけではないのです。
まるで、目の前で、起こっているかの様に話しているだけで・・・上手いか・・・というと、決してそういうわけではないのです。
そしてそして、元モーニング娘。の中澤裕子さん・・・思春期から、よく霊現象に遭遇していたようなのですが、芸能界に入っても、そういうことを話した事はほとんどなかったそうです。
話すと、そのことでよくないことが起こりそうな気がしていたそうです。
・・・ですから、今回は、禁断の扉を開けた・・・ということになり・・・。
でも、さすが、リーダー!・・・と思わされる人物でいらっしゃいました。
ことばの一言一言の素直なこと素直なこと・・・その正直さが、あれだけの大所帯を統率していたことに通じているのだろうな・・・と思いました。
・・・いや、コワイですよ、この方のお話しも・・・。
荒俣さん、東さん、怪談にまつわる蘊蓄を語ってもくれましたし、佐野は佐野で、強引な解釈を述べたり・・・。
当初、思っていたより、みなさん、どんどん怪談話が出て来て・・・収録時間を大幅にオーバーしてしまいました。

番組収録前にスタジオで、きちんと全員お祓いしていただきました。
霊というものが存在するとしたならば、霊に対して(人間と同じように)、相手を敬い、きちんと対応することが大事なのだとも思いました。
日々の日常の人間関係と変わりはしないのでしょう・・・いや、この現実世界では、歪んだ人間関係で恐ろしい事件やいさかいが絶えないことも事実ですから・・・。
家族や友人、仕事仲間・・・道具、身の回りのモノたち・・・敬い、尊重する・・・ということだけなのでしょうね、きっと・・・大切な事は・・・。
霊も現実世界もなにもかも、あろうがなかろうが、思おうが思わまいが、いっさいがっさい、この宇宙の中に漂っていることだけは変わらないのでしょうから・・・。

終わって中川アナたちとご飯食べに行って、あれやこれや思う事を話せたのも、良い時間を過ごせたからでしょう。
なんでも、最近は朗読ブームだそうで、この、過剰な情報過多の時代に、シンプルに語り聴かせる、聞く・・・ということの大切さ、面白さが見直されている・・・とのことなのですが・・・。
それもそれで、あっという間に形骸化されてしまいそうなのが怖いですけどね。
よく、演技で大切な事は何ですか?とか、朗読で大事な事は?とか訊かれるんですが、中川アナもアナウンスの研修などで教える立場にある時、同様の事を想うとおっしゃってました。
以前、中川アナとやはりNHKの上田早苗アナと飲んだ時に、まあ、3人の共通する仕事がナレーションでしたので、言葉を発する時に大事な事は?という話になり、「内容を理解しないで言葉を発してしまう」こと、「感情を込めれば伝わるはず」と思ってしまうことの危うさについて意見が一致したのですが、そこで3人共通した意見はこうです。
「感情は入れない。理解した事実のみを、まずは言う」
『最恐 怪談夜話』は、まさにそんな一夜でした。
恐怖の感情ばかりは、押さえることができませんでしたが・・・。

最後にBAR BOSSAに行ってシメ。
もちろん、音楽はジョアン・ジルベルト。詩はヴィニシウス・・・。
ボサノヴァと怪談の、とある夏の日のお話しでした・・・。
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橘 
井堂二〇〇九年葉月二日

8月になっちゃいました・・・。
早いな〜。
先月は、色んな事がありました。
「美代子阿佐ヶ谷気分」「アマルフィ」「20世紀少年 最終章」「官僚たちの夏」・・・映画やドラマの舞台挨拶が続きました。
写真展も「うえだ好き」「りす写友会」とふたつ参加しました。
ドラマのロケや写真展で名古屋、札幌〜室蘭・・・合間にフジロックで息抜きして新潟・・・。 なんだか移動してたな〜。

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★色んなところへ行った7月でした。切符は、室蘭の近くの「母恋(ぼこい)駅」の入場券。マザコン役を思いださせてくれました。

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★断崖絶壁の海・・・絶景でした。

で、7月は最後に佐世保へ。
山本恭司氏と一緒にやってる小泉八雲の朗読ライブで。
「耳なし芳一」を中心とした幻想怪奇幽玄の世界を編んだ『消失』をば・・・。
松江と東京以外でやるのは始めてだったので、反応がどうなんだろう〜?と、読めない感じもありましたが、みなさま、とても集中して聴いてくださり、密度の濃い70分ほどの時間は、とても充実したものでした。
会場の「アルカス佐世保」さん、とてもやりやすいホールでした。 ありがとうございました! え〜佐世保ですので、佐世保バーガー差し入れしていただき、確かに、噂に違わず、美味しかった!!!です!
吉祥寺にもあるんですけどね・・・今度、行ってみようかな〜?
二部は、トーク。
ふたりでギター抱えて、クラスメイトの高校時代に逆戻り。
キョージのギタークリニックでは、演奏方法や、ステージ上の機材などの解説もあり、ギターキッズにとっても楽しめたのでは?
小泉八雲・・・ラフカディオ”パトリック” ハーンと、レッド・ツェッペリンのジミー”パトリック”ペイジ・・・アイリッシュ系のミドルネームの共通項から、ロックと幻想文学の共通項を探って、「天国への階段」のさわりを演奏してみたり・・・。ジミー・ペイジは実際に魔術師、アレイスター・クロウリーに傾倒していたようですし・・・。
ハーンが採集した明治当時の童歌やらなにやらのなかに、恋歌などもあって、楽屋で急遽曲を作って、ぶっつけでやってみたり・・・。
質問コーナーでは、学校の先生が、今度、「怪談」の朗読の発表会をやるので、台本を見せてくれ・・・と言われ、舞台に先生たちを上げちゃって、佐野の朗読台本、見せてあげたり・・・。
ところどころ書き込みがしてあるので、興味津々で見ていらっしゃいましたが・・・。 参考になったかな〜?
緊張感のある1部と、ユルユルの2部との落差は激しいものの、楽しいステージとなりました。
終わって、肥の国の美味しいものいただいて・・・ま、結局、これが楽しいんですけどね!
北海道も美味しかったけど、九州も・・・北のホッケ、九州でのキビナゴ・・・流通の良くなった現在でも、やっぱりご当地が一番!
翌日、帰京するも、そのまま舞台挨拶へ・・・このひと月で、ナント!舞台挨拶・・・5回目です〜。
ユーロスペースで始まった、チェコのアニメーション監督の巨匠、イジィ・バルタ監督の『屋根裏のポムネンカ』の吹き替え版に、貫地谷しほり姫と参加させてもらったので・・・。
チェコアニメが大好きな佐野としては、夢のようでしたが・・・吹き替えは、どうしても元のニュアンスとは変わってしまうからな〜と、責任感じつつ、でも、楽しかったです。
是非、ご覧ください!面白いですよ〜!!
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