雑記帳

二〇〇五年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月

二〇〇四年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月 

二〇〇三年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月

二〇〇二年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月

二〇〇一年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月

二〇〇〇年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神有月 霜月 極月

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橘井堂二〇〇一年長月二十八日

昨日、唐組の初日、「水中花」観て来ました。
新宿の西口、ヒルトンホテルから十二社(じゅうにそう)通りに向かう、北通りを進んで、グリーンタワービルの裏手。
路地裏の空き地に紅テントがたってます。
「水中花」は、唐さんの小説「調教師」をベースにした戯曲で、10年ぶりの再演だ。
とは言っても、初演は「透明人間」という題だったし、本筋は変わらずとも、時代時代によって、その骨格やニュアンスは様相を変えている。
第一、役者も変わっている。
実は、僕が唐組の前身である、「状況劇場」時代に入団当時、小林薫さん始め、幹部が何人も抜けてしまった変動の時期、唐さんからの指令で、「調教師」を、戯曲に起してやってみろと言われ、やったことがある。
稽古場公演ながら、事実上の初演だ。
その時に、僕は、辻という、狂水症にかかった、時次郎という犬を調教する、元軍人の役をやらせてもらった。
焼き鳥屋を舞台にしたこの作品は、状況劇場における、初めての大役だったので、思い出深い。
また、劇団の過渡期でもあり、唐さんも厳しい眼差しで僕らを観ていた。
無我夢中に芝居と取り組んでいた時間……。
僕の原点でもある。
思い入れも深い。
良かった。
この作品が上演される時、必ず新人が現れるという。
覚せい剤所持で問題となった、三田佳子さんの息子、高橋祐也氏の、初日、初舞台でもあった。
犬に噛まれた野球少年の役は大役で、僕も、何度か稽古場公演でも再演されたなか、在団中に、この少年の役もやったことがある。
前科は知らない。
役者として、初めて舞台に立ち、無我夢中で演じる姿は美しい。
もちろん、続けることの困難さは、また別問題だ。
彼のみならず、新人の男優、女優が何人も出てきた。
こういうものを目にすることのできる幸せ。
舞台を控えているこちらとしても、燃えてくる。

新宿の西口原っぱでの公演は、9月の27、28、29、30日。10月の18、19、20、21日。 両国の江戸東京博物館となりでは、10月の12、13、14日です。

紅テント未体験の方ならば、尚更!

実はここのところ、芝居を控えていることや、まあ、芝居の季節ということで、何本か芝居を観てました。
マキも燐光群に出てたしね。
ヨーロッパ公演にこれから出発するようです。
えーっと、JIS企画で組まさせていただいている竹内銃一郎さんの別の企画「カメレオン会議」では、やはり、竹内さんが育てている新人の作家や、役者たちが出てきました。
中野のポケットで、プロデュース公演を四作品連続で上演しています。
一作目の、「キリコのボート」は終わってしまいましたが、笑った!
いやあ、出てきてますな……才能アル若手が!
もったいないので、あんまり教えたくないカンジです。
ファンになっちゃった子がいるんだ〜。
へへへ…。

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橘井堂二〇〇一年長月二十三日

アメリカの4大ネットワークが共同で制作した、同時多発テロの犠牲者を追悼する番組が22日に放送された。
僕はウイリー・ネルソンが歌っているところしか観られなかったけど、後ろでニール・ヤングがギターを弾いていて、久々にカントリーマンとしてのニールさんを観ることができた。
二人はむかし、「オールド・ウエイズ」っていう、ニールさんのカントリーのアルバムでも共演しているんだ。
なにしろ、ニール・ヤングは、今年、フジロックでそのロックマンとしての勇姿を目の当たりにして打ちのめされたばかりだから、彼への興味は、今、ひとしおだ。
再放送では、しっかりと、ニール・ヤングの唄う「イマジン」受けとめました。
素晴らしかったよ! 流石だよ! ニールさん! 泣きそうになっちまった!
しかし、アメリカの放送局は、サイモンとガーファンクルの「明日にかける橋」などと共に、「イマジン」の放送を自粛しているという。
理由は、「イマジン」の歌詞のなかにでてくる、「国境のない国を想像してご覧……」といった内容が、遺族の方に対して、いかがなものだろうか……? ということらしい。
もっともらしい説明だが、僕は遺族ではないので、何とも言えない。
ただ、国の威信をかけた「報復」という言葉のもとに、表現が規制されるのは何とも気持ちが悪い。
世界平和なんてものが実現したためしがないのは、歴史を振り返るまでもなく、ジョンだって知っていたはずだ。
人は、なにかを守るために戦うものだろう。
僕らだって、戦争はしなくとも、文明社会に荷担することで、どこかの誰かを追い詰めているのだ。
そう、イスラム原理主義のもとに行われたとされているテロ行為は、「窮鼠猫を噛む」という格言を思い起こさせる。
実際、どうなっているのか、僕には、それは、まったくわからない。
もちろん、テロなんてゴメンだ!
たまったものではない!
許されることではない!
しかし、「報復」の名のもとに、根こそぎ除草してしまおうと煽る方法論で、解決されるとはどうしても思えない。
黒船以降、僕ら日本の地で生き長らえてきた人の流れは、特に第二次世界大戦での敗戦以降、アメリカに順じているのだから、そのことを考え続けるべきだと思う。
「報復」の方法論で、我ら日本は豊かさを手に入れたかもしれない。
しかし、失ってしまったものもまた計り知れないだろう。
事実、沖縄は日本に取り込まれ、アメリカに取り込まれ、いったいこの先、どこへ行くのか……?
何千年、何万年単位で考えれば、国や宗教や、風習は風のように流れつづけているので、緩やかに受け入れるしかないのかもしれない……とも思う。
そう、緩やかに……緩やかに……良くも悪くも、生という死と裏腹の時間を受け入れるには、それしかないようにも思われる。
だから、その緩やかな時間を大切にするために、ニール・ヤングは武器ではなく、楽器と歌でもって、そのことを説いているのではないかと思うのだ。
押さえこんだって、何も解決しやしないのではないかしら……確かに、気休めも、人を一時的に救うには大切なことなのかもしれないけれど……。
「イマジン」……想像してごらん……って。
ニールさんは、ジョンの分も歌ったんだね。
幸せとは、どういうことなのか……ひとりひとり、違うんだよって……。
どうしてこんなことになってしまったのか……本当に考えなければ……。
かつて湾岸戦争の時、ニール・ヤングは、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌った。
彼の歌声に、少なくとも、僕は生きる勇気を与えられる。
そして、考える……。
「相手の身になってごらん……」
よくそう言って叱られたものだが、それができれば、人類みんなの幸せは案外難しいことではないのかもしれない。
でもなあ……やっぱり、腹もたつものなあ……冷静に、冷静に……。
難しいから、ニール・ヤング聴こうっと!

photo★映画「ピカレスク」で河村隆一さんと。
さてと、お仕事の話をすれば、「ピカレスク」のロケが、銀座の「ルパン」でありました。
ほら、太宰治が、カウンターで飲んでる写真、見たことない?
当時と変わらず、50年もカウンターのなかにいる、高崎さんもご健在で、本当にタイムスリップしました!
「井伏さんは、あそこのボックス席に必ずお座りになって……」とか「織田作之助さんは、必ず、カウンターのこの席で……」とか教えてくださって、まさに生き字引!!!
河村隆一さんは、映画音楽も担当されるので、ああだこうだ、映画音楽の話でも盛り上がりました。
それにしても、僕ら、ハマッテルと思いません?
と、珍しく、自画自賛……申し訳ない!
ルパンの雰囲気にすっかり酔ってしまいました。
だって、使ってるストレートグラスも、当時のままなんだもの!

photo★八千草薫さんと。
あとはと……そうそう!八千草薫さんと共演させていただきました!
「フードファイト」でもご一緒だったんですが、同じシーンはなかったんですよね。
秋元康さんの企画で『夏の終わりのジグゾーパズル』っていう、予告編だけのためのドラマなんです。
放送は10月10日とか言ってたっけな?
ネプチューンのホリケンが主演。
なんか、スペシャル番組の1コーナーらしいっス。
楽しかったあ……なんとなれば、ロケ地が杉並の五日市街道の近くだったから。
え? 何の関係があるのかって……?
だからあ、八千草さんといえば、今から40年ほど前、東宝の「ガス人間第一号」で、能舞台で舞の稽古が印象的なお屋敷の令嬢役で主演なさっていたの!
その、お家が、五日市街道沿いにあるという設定だから、一人で盛り上がってしまったのよ!
だってよお……そんなこと滅多にないと思いません?
しかも、僕はガス人間役の土屋嘉男ばりに、マッドサイエンティストを思わせるドクターで、「キャー」てなもんよ!
「ガス人間……」は「マタンゴ」ともどもオススメです。

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橘井堂二〇〇一年長月十八日

東京はなんだか、まだまだ毎日蒸し暑いや。
合衆国はラディン氏を探し出し、必ず報復すると言っている。
今『ピカレスク』の撮影中なので、猪瀬直樹の原作に描かれている、終戦の当りの文士たちの日々が興味深く伝わる。
僕が演じている井伏鱒二が書いた「黒い雨」が、実際に広島で被爆した重松静馬氏の日記他のほぼ丸写しであるという事実を突いて、太宰治の遺言に「井伏さんは悪人です」と記した謎を解く。
井伏はそれまでにも、同じように盗作を繰り返していることを暴き、これまでの文壇での評論をくつがえそうとしている。
演じているから言うわけではないけれど、予てから、演技者はその役の弁護人の役割を請け負わなければならない……という持論からすれば(現在は、そんなことはどうでもいいと思っているが……というより、当事者なので、弁護している暇なんかないだろう……という感じだ)井伏の犯したことを、表現者として、やはり姑息と言わざるを得ない事を認めつつ、「丸写しでもイイじゃん!音楽の世界だったら、リミックス・ヴァージョンを持ち出すまでもなく、奥田民夫なんかドロボーだろ」と言いたくもなる。
ま、それだけ、ブンガクなるものは、カクチョー高いものなんすかね?
文壇だって、当時は芸能界みたいなものだったような気もするけど…。
といって、芸能界を卑下しているわけではないですよ。
「小説ばっかり読んで……」なんてセリフが、昔のものを読んでると出てきますが、「テレビばっかり見て……」と同じでしょ……ということ。
とすれば、太宰治は尾崎豊みたいな感じかな……?
おっと、あんまりへらついて書いてると報復が恐ろしいからな……。
そう、報復!
「黒い雨」を生み出した原爆投下と、世界貿易センターへのハイジャック旅客機激突を重ね合わせるのは、正確に言うと、間違っているかもしれない。
ただ、いずれにしても、それぞれの価値観の違いを、武力や暴力によって解決、征服していこうという考えには、反対だ。
ま、考えつづけよう……。

先日、マキが客演で出ている燐行群の芝居「ブレスレス」を観てきました。
1990年に書かれたもので、なんと、当時、作・演出の坂手洋二氏は27歳!
当時行方不明中だった、オウム事件に巻き込まれた坂本弁護士やイエスの箱舟、オウム真理教、ゴミ問題等をからめつつ、その後を予言したかのような作品だ。
教祖かただの浮浪者かわからぬ、パパなる男を演じる柄本明さんが、やはり圧巻です。
「作家の世界を理解しようとなんかしないぞ!ただ、俺がここにいるだけだ」という演技体としての確かな信念に裏打ちされたその、佇まい。
尊敬しますです。
どうしても、解ろうとするんだよね。
解ろうとする事が悪い事ではないかもしれないけど、解ったフリをする人たちが、僕を含めてほとんどです。

「ピカレスク」の撮影現場でも、そんなこと話してます。
河村さんは、自分の実体験に照らし合わせて、書かれている状態を探っていいものか逡巡なさっていましたが、その必要はないでしょう!
お互いロック!
出てきた音を受け止め、出していけばそれでいいさ。
じゃなきゃ、相手なんかいらなくなっちまう。
うーん、確かに打ち込み作業は一人でもできるからなあ……弾き語りだって、自分や楽器と対面しているわけだから、一人じゃないと言えるし…。
見極めは不可能ですかね、個人の中にあるものと外界からの刺激を受けての反応は……?

24日まで、三軒茶屋のシアタートラムでやってます。
詳しくは、こちらへ……http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

あとはね……ダヴィンチで連載中の「ゴジラのいる島」の執筆を相変わらず……。
なんだか、壮大な事になっちまっていて、導入部分だけで一年かかっちまっただよ。
いま、おおよそ4万7000字だから、おおよそ原稿用紙で110枚ちょっとか……まだまだだな……。
3分の一きたところかな?

もともとは、取材で南大東島へ行って、そこでスクーバダイビングに目覚めたんだけど、これを使わない手はないからな……。
後半では海の中のゴジラの様子とか出てくるかな?

だから、先週、合間を縫って、伊東と富戸に潜りに行きました。
一人でプラーっと行っちゃうの。
全然しらない人たちと潜るんだけど、楽しいよ〜。
ライセンス取ってから、初めてのボートダイビングでした。
少しづつお魚の名前を覚えていくのも、また楽しからずや。
潜ってたら、自衛隊の駆逐艦が入港してきたのには驚いたけど……。
なにやら動いています。
日本も。

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橘井堂二〇〇一年長月十三日

都心を直撃した台風が15号が去ったかと思う間もなく、TVの画面では、ニューヨークのツインタワーに激突するボーイング機の映像が繰り返し流されている。
崩落する巨大ビルに、逃げ惑う市民は、ハリウッド映画そのもので、イスラム過激派のラディン氏が関与しているとすれば、この、現実の悲惨な事件は007のシリーズそのままだ。
思えば湾岸戦争の時もそうだった。
言い尽くされたことだが、飛び交うミサイルの映し出されるテレビ画面は、ちゃちなコンピューターゲームを観ているようだった。大惨事が起こるたび、対岸の見物客はどこか他人事だ。
痛みや苦しみを分かち合うことは困難でも、何故そうなったのか、考えなければ……。
他人の世界観や、生死感を理解することはできなくとも、自分の世界観や生死感と照らし合わせて見なければ……。
前回、食うか食われるかが生物で、だとしたら、共に世界を分かち合いつつ共存するなんて無理なのか……と、弱音を吐きましたが、地球という生物にとっては、それこそが共生なのかもしれません。
ただ、今の地球は、健康体ではないようで、癌細胞に侵されつつあるように思われます。

癌細胞は誰でも持っているそうですね。
ただ、それが目覚め、他の細胞を食いつくし始めるかどうかの違いがあるだけで……。
人類を癌細胞に例えたら、外科手術を施さなければならないほどなのでしょうか……?
放射線治療は、テロ行為を行う癌細胞を根こそぎ焼き尽くしてしまえば良し…と…いう発想に思われます。
ナチスによるユダヤ人の虐殺、日本人による南京大虐殺や朝鮮、アジア諸国への侵略……何れも、その時は癌細胞を絶やそうという診療方針にならった結果行われたことと推察されます。
しかし、歴史はその時のナチスや日本をこそ癌細胞と認識しているはずです。
国家間でなくとも、近年の地下鉄サリン事件なども、同様でしょう。
では、いったいどちらが癌細胞なのか?
地球に聞くしかないでしょう。
しかも、地球の声を聞く耳を、地球の意思を感じ取る感性を、持たなければ、それさえわかりません。
「何の罪もない人を……」という言葉をよく聞きます。
まさにそのとおりでしょう。
ラディン氏が生まれたての赤ん坊の時、それこそ何の罪もない生命だったはずです。
人はなぜ、こんなことになってしまうのか… …。
美と正義の感覚が、恐ろしくてたまりません。
この地球にも、免疫療法はないものか……?!

photo★主演の河村隆一氏と。
そんななか、伊藤耕裕監督、山田耕大脚本、安藤庄平撮影による映画、「ピカレスク」が進んでいます。
原作は猪瀬直樹さん。
太宰治の心中事件の数々を、殺人としてアプローチして解いてゆき、先輩の井伏鱒二に対して「井伏さんは悪人です」と遺書に残した言葉の謎をも解いていく。
評伝として、歴史に残る作品の映画化に、身が引き締まります(すみません、本当はいつもと変わりません。制作発表モードに入ってしまいました)。
面白いですよー。
原作も、撮影現場も。
主演は河村隆一氏。
映画初出演だそうですが、流石という、その切り込みの鋭さ。
直感の非常に優れた人で、一緒にやってて、面白くてしようがない。
奥さん役に、さとう玉緒さん。
photo★詰め襟の河村隆一氏と。
彼女も、テレビの時には見せない表情だらけで、惹き込まれます。
撮影の間にも、ロックや恋愛、家庭観、演技のこと……太宰や井伏の霊が降りてきたかのように、語りつづけ、それこそピカレスクです。
僕も、映画を始めたころの、「夢みるように眠りたい」「帝都物語」「明日」と続いた、レトロな映画感覚に戻り、嬉しくてしかたがありません。
やっぱ、いいや、映画は!
そういや、今年は映画づいていて、「化粧師」「修羅雪姫」「ゴジラ、モスラ、キングギドラ」そしてこの、「ピカレスク」と続いています。
ポケモンの「セレビィ」まで加えたら……何本目だろう?
50本を超えました。
監督作品の準備も水面下で進んでいるのですが、何とか実現したいものです。

photo★後ろの火山の噴火も本物の火が出てすごい。
ところで、今月2日、ディズニーシーのプレミア・パーティーに娘と行ってきました。
ビールも飲めるし、食事も、いい感じ。
ディズニーランドが、どっちかっていうとファンシーな少女心をくすぐるエリアとすれば、シーの方はお父さんや、少年たちに、特にオススメ。
インディー・ジョーンズやアラビアンナイトのような、エキゾチックな冒険モノもいいけれど、ジュール・ヴェルヌや「未来世紀ブラジル」のような近未来も楽しい。
アメリカの権化のようなディズニーワールドですが、ラディン氏は許さないのだろうな……これも。
でも、ウオルト・ディズニーって、当初は当局から目を付けられていたなんてウワサもありましたが……。
金正日さんだったら、大喜びして遊びそう!
ポップでオシャレな、メジャーな世界のディズニーワールドですが、僕は何故か、江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」のようなおどろおどろしさを感じました。
それこそ、浅草の「花やしき」のような遊園地で、見世物小屋もあるような。
どっちにしても、そういう世界なんですね、遊園地って。
閉園したあとの、深夜のメリーゴーラウンドなんて、想像しただけで怖いものね。

そうか……SMAPも、花やしきも、ディズニーシーも、江戸川乱歩も、ゴジラも、太宰も、谷崎も、触れたら危ない禁断の世界なのですね、本来。
性に目覚めた中学生のころ、本屋で、ウシロメタイ想いで手にした緊縛の絵のついたエロ本と変わることなく、全て通底しているのだと、一人納得。
芸能の仕事にしたって、やっぱ、みんなヘンタイだ!
みんなの見ている前で、やるなんて……。
そこまで言う事ないか……祭事が仕事ですからね。

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橘井堂二〇〇一年長月十二日

原稿を書いていたら、「特命リサーチ」の雨笠プロデューサーからメール来る。
ゴローちゃんのことで、HP上で「帰ってきて」発言で、賛否両論だと報告する。
「それより、大変なことがニューヨークとワシントンで起こったらしい」と聞き、TVを点ける。
……あとはご存知のとおり。
イギリスの植民地政策が行われなかったら……。
縄文時代が続いていたら……。
思っても仕様がないことを、それでもやはり、考える。
それがなければ、僕もここにいないし、SMAPも、くるりも、R&Rもなかったかもしれないものなあ……。
でも、どう生きるか・・・の葛藤は、社会がどうであれ変わる事はないのだろうなあ……。
世界貿易センタービルに突っ込む飛行機。
崩れ落ちるふたつのビル。
そんなビルが現れることも、崩れることもなかったのだろうなあ。
マキは、明日ロケが早いので寝てしまった。
しかも、今、三軒茶屋のキャロットタワーで、「ブレスレス」っていう燐光群の芝居に柄本明さんなんかと出てて、大変そう。
……そうか、植民地政策がなかったら、僕らもこうしていないのかい?
同じ人間が、まったく違う思想を持つ。
それをお互いに認め合うということは、絵空事なのだろうか……?
やはり、食うか、食われるかなんだろうな。
生物はことごとくそのように思われるから、人間だけ違うという考えには、やっぱり賛成できないや。
水木しげるさんはどう思っているだろう?
唐さんは?
シモンさんは?
エンケンは?
……?
好きな人たちと話したくなってしまう、明け方。

近況報告はまた改めて…。

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橘井堂二〇〇一年長月八日

ゴローちゃんファン、並びにSMAPファンの方がたから、8月30日の雑記帳に載せたゴローちゃんのことに対して、とてつもなく沢山のメールをいただきました。
ありがとうございました。
と共に、自分のなかでは、ゴローちゃんファンへ向けての特定のメッセージではなかったので、少々戸惑いもしました。
と申しますのも、その多くが、大変、熱狂的なものだったからです。
涙ながらに復帰を望むファンの方がたのメッセージは、現場でのゴローちゃんに対してどう思っているのか、仕事仲間の様子がわかって安心したという内容がほとんどでした。
つくづく、ファンというのはありがたいものなのだなあ……と、実感しました。
「早く帰ってきてね」は、仕事仲間として、もし自分が逆の立場だったら……と想いを馳せた故の、発言でした。
彼の気持ちがよくわかる気がするからです。
が……それと、彼の起したことに対してどう思うか、どう責任を取るかは別のこと。
弱いですね。
確かに。
そこを突かれると……10代のころに憎んでいた大人の社会そのもので……。
「はっきりしろ!」と自分に、またもや言い聞かせねばなりません。
ひとつの身体で相反することを飲み込まねばならぬのが生きることだと、思い知らされつつも、だからこそ現場からの声を載せました。
ゴローちゃんを擁護してくれてありがとう……といったニュアンスのメールのなかで、ですから、下記のようなものもありました。
ゴローちゃんや、SMAPファンの方がたに読んでいただけたらと思い、載せさせていただきます。

稲垣ゴロちゃんは、復帰すべきですか?
会社で後輩とも話していたんですが、世間一般では”復帰”なんて
おかしいですよ。厳しいかもしれませんが。芸能界では、薬で捕まっても、
傷害事件を起こしても、結局平気で復帰しますよね。
もちろん、ゴロちゃんのしたことは、軽ーい罪かもしれません。
この世界を出されたら、生きていけないのかもしれません。
でも、”逃げた”こと自体、公の身なんだから、絶対してはいけなかったこと
ですよね。
・・・で、何が言いたいのかと言いますと・・・。
佐野さんが「早く帰ってきてね」と言っていること・・・。
絶対、絶対、おかしい!!
例え心で思っていても、HP上で書いて欲しくなかったです。

すみません。言いたいこと書いてしまいました。
稲垣ゴロちゃんの姿が”200X”から消えてしまうのは私も寂しいです。
「あーあ、逃げんでも良かったのに。」ってのが感想でしたし・・・。
だけどねー、影響力があるだけに・・・。 どう思われますか?私は厳しすぎますか?
                        (神戸 M・Nさん)

いえいえ、おっしゃるとおりだと思いますよ。
それが社会人というものでしょう。
が、元々、芸能は神にこの身を捧げることが起源。
日々の暮らしではどうにもならない、災害や心の葛藤を、神への生贄によって治めるのが真意。
法律や、社会通念といったものから、元来かけはなれたところでなりたつ世界。
この世とあの世を行き来する、幽霊族なのです。
我らは。
この身を持ちつつも……。

まあ、その意識をもって、芸能の世界を生きているかどうかは、あとは本人次第ということで……。
しかしなあ……今は、その幽霊たちも、管理されているのも事実。 週刊「文芸春秋」にも厳しく叩かれておりましたな……ゴローちゃん。 シャツにGパン、ボサボサ頭……記者会見にメークして出てくるなって書かれてました。

もちろん、演出入ってますでしょう。
表現者ですから。
公に顔を出すわけですから、例えそれが、コンサートだろうが、記者会見だろうが、商品でない「稲垣吾郎」はありえないという解釈です。
商品でない「稲垣吾郎」ならば、記者会見も開かれないでしょうから。

つくづくこの世は矛盾しておりますなあ……。
いや、矛盾してこその世界と言うべきでしょうか……。

しかし、それにしても、メディアでの報道は、「文春」も含めて、何が一体事実なのかはよくわかりません。
それこそ「藪の中」で……。
ただ、仕事仲間として『ファンに追われた云々〜』の真偽は別にして、「パニックになった」というのはあったかもしれない……とは思いました。
「特命リサーチ」でもやったんですよね、パニックネタ。
舞台の演出家にもよく言われます。
「人生で一番の愚行はあせることである」と……。

ゴローちゃんがジャニーズ事務所の試験を受ける時、6人目のSMAP、森且行クンと一緒に駅から歩いたって言ってました。
森クンのことを語るゴローちゃんは、とっても穏やかで、懐かしそうでした。

SMAPファンのみなさん!
ゴローちゃんの復帰を願う気持ちと共に、森クンのことも、忘れないでね!

あせらず、ゆっくりと……か……。

マイペース……うーん、SMAPから教わることが多いことは確かだな。

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