雑記帳 二〇十七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十五年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十四年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十三年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十二年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇十一年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇一〇年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇九年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇八年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇七年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
二〇〇六年 睦月 如月 弥生 卯月 皐月 水無月 文月 葉月 長月 神在月 霜月 極月
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橘井堂二〇〇六年卯月二十七日

4月28日まで下北沢のシネマアートンで川島雄三監督特集をやっているのですが、今月1日から通い始め、全12本を観ました。(「還って来た男」「深夜の市長」「追跡者」「夢を召しませ」「適齢3人娘」「とんかつ大将」「娘はかく抗議する」「こんな私じゃなかったに」「明日は月給日」「花吹く風」「新東京行進曲」「東京マダムと大阪夫人」…川島監督にご興味のある方はカワシマクラブを覗いてみては?)
すべて松竹時代の作品で第一作目から日活に移籍するまでを駆け抜けました。
川島監督というと、何と言っても「幕末太陽伝」が有名ですが、「しとやかな獣」をはじめとして、問題作、名作ぞろいであります。
そんな川島作品の初期作品にまとめて触れることができ、おおいに刺激を受けました。
数年前、「世界妖怪会議」で川島雄三の故郷、青森県むつ市に行った折にも、記念碑のある寺院で手を合わせて参りましたっけ。
おもえば、川島監督が憧れたという小津安二郎監督の特集に通った20代最後の年から始まった僕の映画人生ですし、川島作品には折々、なにかしら惹かれ続けてきていて、こうしてまとめて観る機会も何度かあったのですが、松竹特集・・・ということで、大船撮影所のことやらもおもいだされ、また、好きな俳優さんばかりが次々に登場してくるのを観ているだけで豊かな心地になるのです。
50代をどう生きようか・・・と模索するなか、かなりヒントをいただいたような気がしています。
ちょうどアートンの隣のザ・スズナリでは東京乾電池祭りをやっていて、映画を観終わったあと、小津監督の「長屋紳士録」(柄本明さんの演出)を原作にしたお芝居を観ました。
その前の日は、竹内銃一郎さんが以前乾電池に書き下ろした「眠レ巴里」(金子光晴の作品名)という演目をやっていたのですが、これは、素晴らしかった!!
やはり、「イイ、台本(ホン)」というものは、ものすごい力を持つものだな・・・と思いました。
そして、若手の俳優たちの抑制された演技にも学ぶことが多かったです。
ちょうどヒトがこの地球にいて、生きられる環境がないと、生きていけないのと同じように、俳優も・・・役者も・・・生きてはいけないのだなあ・・・と、当たり前のことを思いました。
川島監督が企画し実現せずに旅立たれてしまった、そしてフランキー堺さんがその意思を受け継いだ「写楽」で歌麿をやらせてもらったことも過りました。
東京はここ数日、不安定な天気が続き、嵐のような雨風のあとに、ドピーカンになったりしています。
気温も暖かかったと思ったら急に冷えたり・・・。
舞台や映画のこと・・・グルグルとめぐります。
竹内さんとのJIS企画の予定はいまのところありませんが、僕も、なにやらモヤモヤとしてきました。

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橘井堂二〇〇六年卯月二十二日

今日は久しぶりにオフ。
外はいい天気なのにダラダラと何もせずに家にいます。
ネットラジオでハワイアンかなんか聞きながらこうしてるワケです。
部屋の片付けしなきゃ・・・なのですが・・・。
「銀幕会議」や「あの歌がきこえる」の収録が続いています。
内心、「いったい、これでいいのだろうか・・・」と判断しきれない自分もいるのですが、映画に対する好奇心と、音楽や漫画に関わる番組のなかでひとり演じることの新鮮さを感じているのも事実です。
僕自身が愛してやまない映画や音楽ばかりではないけれど、どこかで新鮮な作品との出会いを期待しているのでしょうね。
おかげさまで深夜にもかかわらずたくさんの方に観ていただけているようですし・・・。

そんななか、サッカーのワールドカップにまつわるチャリティーの企画アルバムに参加させていただいてますです。
コンピレーションアルバムがリリースされるのですが、そこにはsanchで参加させていただきました。
レコーディング中の出前で、ラップにぐるぐる巻きになったお弁当やらお重モノやら・・。 いい作品になりそうです!

そうそう、2時間ドラマの撮影にも入っているのですが、ナント!13年ぶりに賀来千香子さんと競演させていただいてます!
シーン数はわずかなのですが・・・。
映画では忘れられない相手役として南果歩さんのお話を記しましたが、ドラマは、やっぱり、この方!
久々の2ショットに、お互い、かなりテレましたが、相変わらず息はピッタリ!・・・と自画自賛しておきましょう。
当の本人なのに、どこかで「わっ! ホンモノだ!」と思ってしまう感覚、お察しいただけますでしょうか?
放送が決まったら、またお知らせいたしますね。

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橘井堂二〇〇六年卯月十七日

黒木和雄監督の訃報が入ったのは丁度レコーディング中でした。
南果歩さんから携帯の留守電に入っていて知りました。
彼女とは黒木監督の『明日』で長崎に原爆が落ちる前日に結婚式をあげた夫婦を演じさせていただき、それ以来の友人です。
映画デビューの時期もほぼ同じで、いわば同期の感覚です。
滅多に会う事はなくとも、お互いのプライベートなことは知らなくとも、映画の濃密な時間を共に過ごしたことが20年経っても、その大切な時間を忘れさせないのでしょう。
それもこれも、黒木監督やあの現場でご一緒させていただいた共演者の方々や諸先輩方のおかげ・・・と、感謝の言葉しか浮かびません。
特に黒木組の顔ともいうべき、原田芳雄さん、桃井かおりさんの存在は大きく、長門裕之さん、馬淵晴子さん、田中邦衛さん・・・大映画スターたちに混じっての映画の時間がどれほど大切だったか・・・。
しかも、今はなき、松竹大船撮影所でのセット撮影。
劇中に小津安二郎監督の『父ありき』が映画館で上映されているシーンがあったから、小津監督にオマージュをささげ、わざわざ大船撮影所を黒木監督は選んだのだろうか・・・と、その、映画の先達たちに対する敬虔な気持ちが今になって切なく思えます。
脚本も、後にずっと舞台でご一緒させていただくこととなった竹内銃一郎氏でしたし、僕が教わった、その後のあらゆる映画や演技の大切な要素がぎっしりと詰まった作品なのです。
実は、あの映画のワンカット、ワンカット以上に、集中し、かつ穏やかに演じられたことがそれ以降なく(どうみえるかは別にして)、映画をはじめた時の素直な身体というものは、取り戻す事が難しいのだなあ・・・と本数を重ねる度に思い知らされます。
デビューの林海象監督の『夢みるように眠りたい』、実相寺昭雄監督の『帝都物語』、黒木監督の『TOMORROW/明日』・・・特別な映画・・・今一度、原点に戻って映画をみつめなおしてみる時かもしれません。それにしても黒木監督・・・ここ数年、特に精力的に映画を撮り続けていらっしゃっただけに残念でなりません。新作、『紙谷悦子の青春』、楽しみにしております。合掌。

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