橘井堂 佐野
2001年6月24日



『お薬』
作詞:石川真希 作曲:夢野ワンダ
そうやって あなたはいつも
悲しんでいる私に 良く効くお薬をくれるのね
でもそんなに良く効くお薬の後では
どんなに大きな傷が待っているの

そんな風なあなたの仕草は
苦しさも忘れさせる とっても良く効くお薬なの
でもそんなに良く効くお薬がなければ
私はどんなに苦しいかしら…アア

いつもいつもお薬が先で
傷は後からつけられるの
この蹴るような傷みが
あなたを思い出させるのよ
私の非道いお医者様

そうやって あなたはふいに
寂しがっている私に 良く効くお薬をくれるのね
でもこれよりもっと効くお薬をくれないのなら
どうぞ深い傷をつけないでね



『雪の降る日』
作詞:石川真希 作曲:佐野史郎
この冬は雪が多くて とても素敵
やっぱり冬には雪がよく似合う
歩道橋の上から雪の通りを見下ろしていたい
家に着くまでやまないで
サクサク歩いて帰ろう
傘はささないほうがいい そのほうがいい
人はあまり通らない裏通りに入ったら
雪の上を踊りながら帰りましょう

雪の降る日はシンと静かで とても素敵
みんな息をひそめて雪の音を聞いてる
足跡のついてない道を選んで歩きたい
家に着くまでやまないで
サクサク歩いて帰ろう
傘はささないほうがいい そのほうがいい
灰色の空から降る雪を見上げていると
まるで空に向かって落ちてゆくみたい



『終りの恋』
作詞・作曲:佐野史郎
恋をするのはやめよう
体に悪いし
第一始まった時に
もう終りの事しか思わない
そんな恋なんて
二度と 二度と
したいとは思わない

恋をするのはやめよう
眠れないし
身体の内が一杯で爆発しそう
息を吐くばかり
そんな恋なんて
おまえが おまえが
すればいいんだ

そんな恋なんて
二度と二度としたいとは思わない
そんな恋なんて
おまえが おまえが
すればいいんだ いいんだ…



『紅いくちびる』
作詞・作曲:佐野史郎
気をつけてね あなた
そうして窓ガラスのむこうにいるからいいけれど
手を伸ばしていてもいいけれど
決して窓は開けないで

お部屋のなかは
シダでいっぱい
射し込む月あかりで
胞子はきらめき
ビロードの苔の絨毯に
私ははだかで寝そべる

気をつけてね あなた
そうして窓ガラスにおでこをつけてもいいけれど
頬をおしつけていてもいいけれど
決して窓は開けないで

お部屋のなかは
シダでいっぱい
月あかりのマントを纏い
ガラスにくちづける
ビロードの苔の絨毯を
あなたはけばだたせて微笑む

きしむ窓ガラス
わかったわキスするから
こうしてキスするから
つよく押しつけないで
窓ガラス割れたらくちびる紅く染まって
私たち消えてしまうのよ
パ・リ・ン



『苦労知らずの美女』
作詞:石川真希 作曲:夢野ワンダ
ちょっとあそこを見てごらん
黒く光る皮のコートで
ゲルベゾルデを口に銜える
苦労知らずの美女が
今夜も街に立てば
この世は無限の十字路
ここはあの娘の気に入りの
愛の迷路よ遊園地

あの娘のハートは抽象だけど
燃える真赤なスカートが
こんなに似合う女はいない
苦労知らずの美女が
夜の街を横切れば
爆ぜた火薬の匂いがする
それはあの娘の気に入りの
愛の香水No.5

苦労知らずの美女 あたしは愛のお人形 ラララ
苦労知らずの美女 なんて素敵なその響き
苦労知らずの美女 あたしは愛のお人形 ラララ
苦労知らずの美女は博物館にお嫁入り
博物館にお嫁入り 博物館にお嫁入り…



『海肌の匂い』
作詞・作曲:石川真希
深まる夜のビロードの感じ
濃い青の肌に
月明りのシワを寄せて
手のひらを差し出せば
とろける甘いハチミツ
夜の空気は海肌の色あい

泳いでいたい ずっと

眠れる町の影絵の輪郭
海底の貝のように
じっと動かない
魚のような
あなたの背中のその骨組み
夜の空気に海肌の匂い

深くもぐってゆこうね



『夢遊病の夜』
作詞・作曲:石川真希
夢遊病に夜の為に 部屋に花を飾り
床に木の葉を敷きつめるの

夢遊病の夜の為に 鏡を磨き
冷たい水で手を洗うの

夢遊病の夜の為に 窓に鍵をかけて
赤いランプを灯したら

町に鐘は響き渡る
開幕を知らせる
闇の中に拍手が聞こえる
壁に影が踊る
神話の獣の様に

夢遊病の夜の為に 時計を止めて
白い寝床に入ろう
白い寝床に入ろう

photo
タイムスリップの2ndアルバム「おくすり」は通販でお買い求め下さい。
タイトルをクリックすると、RealPlayerで音楽を再生することが出来ますが、G2でないと再生できないかもしれません。不都合がありましたら、メールで御連絡下さい。





『夢を飾って』
作詞:石川真希 作曲:嶋田久作
ねえ いつもそばに居てほしい
二人毛布にくるまって静かな夜ね
楽しい物語を聞かせたい
深い海の底で木馬が回り出せば
銀河のあいだを寝台車は走る
そんな素敵な夜
あなただけに そっと教えたいの

ほら まるで小さなフクロウでしょ
じっと毛布にくるまったあなたの姿
夢の中の世界のぞきたい
今日はもうすぐ終わるけど 二人の為に
野原でたくさんつんだケシの花に
金のリボンつけて
あなたの夢の中 飾りたいの



『月の砂漠』
作詞・作曲:夢野ワンダ
どんなに待っても迎えは来ない
砂漠に捨てられ
立ち尽くす振りしよう
世の中で一番好きな人会えない
私は小さなミイラ
泣くことさえ出来ずに震える夜

一年と少し放っておいて
それでも静かに繰り返す秘め事
奇跡が起こって好きな人会えても
奇跡は奇跡のままで
追えば消える冷たい泉の夢

月の砂漠でひとり遊び
砂のお城を建てては壊す
砂のお城を建てては壊す



『虫の眠り』
作詞・作曲:石川真希
*森の中朽ち葉のふとんに
くるまって眠っていたら
虫になったの
もうロングロングアゴーのこと

風が吹いて大きな木が
ザワザワ鳴ったの
あれはたぶん サイカチの木
きっと甘い甘い汁

夜の森では月の光うけて
みんなゆっくりと腐りはじめる
暖かく湿った匂い

紫の夜露は二人の上でとけて流れる
あなたを抱いてここで眠りたい
小さな虫のように

*繰り返し

ロングロングアゴーのこと
ロングロングアゴーのこと
ロングロングアゴーのこと…



『身体が邪魔』
作詞・作曲:佐野史郎
もしも僕らに 身体がなくて
どんなにでもなれるのなら
絡みあって 融けあって
風になってしまうかな

*身体なんて
あってもなくても同じこと
だけど僕らは
風じゃない

恋人たちは その国で
風にしかなれないのです
ひとたび触れてしまったのなら
身体が消えてしまいます

*繰り返し

こんな身体があるばっかりに
そんな身体に触れられない
ひとたび触れてしまったのなら
身体が消えてしまいます



『新宿ストーリー』
作詞・作曲:夢野ワンダ
午前二時の新宿二丁目に蟲く
飲んで歩き疲れ誘う
あなた素敵五番街
人が沢山見ていてもいいわ 平気よ

名前も過去も教えないけど
好きになるのはかまわないわ
私を連れて行って

午前八時 新高円寺 丸の内線
中野坂上まで楽しい同伴出勤
それじゃまた
隣の人に聞かれてもいいわ 平気よ

名前も過去も聞かないから
好きになってもいいでしょう
あなたと手をつないで
このまま飛んでゆきたい
今夜も私の新宿

夜がまた来る新宿ストーリー
朝になるまで新宿ストーリー
先が読めない新宿ストーリー
涙で書いた新宿ストーリー



『ワイン』
作詞・作曲:石川真希
ワインの匂いの立ち込めた
不思議なこの世界
輪郭もいつか溶け出して
マーブル模様であたりはいっぱい
バラ色の眼鏡をはずして
あたしは待ったの
永遠に止まることのない寝台車
もう眠ってしまいたい 何処でもいいから

淡いゼリーで被われた
奇妙なこの世界
あたしの頭の中で
メリーゴーランドが静かに回る
夜の街よりまだ暗い
湖の底を漂うように
まだ見ぬベッドを捜したの
もう眠ってしまいたい 何処でもいいから

もうワインはいらないの
ただ眠りたいの

目次ヘモドル