佐野史郎の音楽的生活

MG30周年記念ライヴ

1999/11/5


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★高校時代のバンドウィンド・シティを復活させ、はっぴいえんどの「12月の雨の日」「春よ来い」を演奏。
10月9日の松江でのMG30周年記念ライヴはすごかったね。

真希も「松江の人は関係が濃い!」とあきれてた。(笑)
真希とエカ(小川功)と三人で羽田から朝一の飛行機で帰ってんだけど、真希は前の日にマキニカリスのライヴがあって朝の4時まで打ち上げだったから、寝てない上に宿酔だったな。(笑)おまけに車酔いまでして、家に着いてから吐いてた。(笑)

それでも時間がないから、すぐにウィンド・シティのメンバー(佐野、小川、小豆沢、周藤兄)と真希ちゃんで練習スタジオに向かったんだよね。

いっしょに出演するキョウベエ(BOW WOW)に電話をしたら、「金魚姫」というクラブ(女の子がいる方の)で高校時代のバンド(マッドロッカー)を再結成して練習しているというから、まずそこに行っったら、みんな二十何年ぶりだというのにガンガンやってたね。

こっちは「金魚姫」というネーミングにまず感動したよね。中に入ったら、コスプレしたお姉さん達のいるところで、アズキ(小豆沢茂)が大喜び。(笑)「また、行く」と言ってた。

マッドロッカーの新宮ヤスヒトがよかったな。ギターも50年代のローズウッド・ネックのテレキャスターでいい音してた。
そして、ウィンド・シティも、これ以上練習しても上手くはできないだろうとあきらめて、堀川巡りでヒマを潰してた真希といっしょに「金魚姫」に戻って、オレはキョウベエと二人で作った「MG」の練習をして、もう開店していたから公開リハーサルみたいになって、お客さんにも喜んでいただき、大盛り上がりでした。

当日は、舞台監督がいないから、佐野がタイム・スケジュールを作ってコンピュータに入力して、実際に司会進行をしながらしきってたものね。大変だったね。山陰地方だけらしいけど、11月6日にNHKで佐野の特集の時放送されたらしいね。

当日になって出演者の飛行機の都合で出演順が入れ替わったり、仕切るほうのオレとしては現場は大変だった。
小松原俊さん、斎藤哲夫さんのあと、オレとキョウジで「MG」という曲を演って……

あの曲を贈られたMGのアッちゃんは聴きながら泣いてたらしいよ。


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★山本恭司と共作した「MG」を唄う。
あー、そうなんだ。(笑)オレはリード・ギターの時に音を外したな。ミスタッチも多かった。(落ちこむ)まあ、いいんだ。
それで、夢ちゃん(夢野ワンダ)と(石川)真希とのタイムスリップで「I WILL BE A MILLER」と「五月の歌」をやったと。練習もせずに。でも、練習してもしなくても同じなんだけどね。(笑)

楽屋でマッドロッカーのベースのナル(鳴瀬)が「オレ達は、ブランクがあるからな」と言われた時に言った「ブランク長い」というシャレで頭がいっぱいになって、夢ちゃんは歌詞を忘れたらしいね。(笑)

夢ちゃんは一番に楽屋入りして、ずっと化粧してたな。(笑)
真希は東京の娘で、若いころから都会のクラブシーンに入り浸ってたから、松江みたいな田舎の「松江フォークジャンボリー」と言ってもいいような毒気にあてられたみたい。
同級のいろいろな学校の不良たちが集まってるわけだから、その濃さに真希もウロウロしてたな。とても、田舎には住めないと思っただろうな。


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★佐野、夢野、真希の元祖タイムスリップ。
そしてウィンド・シティは下手なりに、これ以上の演奏は出来ないほど最高の出来だったと。キョウベエには学園祭みたいでよかったと言われたけど。(笑)

それでマッドロッカーは「移民の歌」、フライド・エッグの「ローリング・ダウン・ザ・ブロードウェイ」、それから「ユー・シュック・ミー」「ロック・ミー・ベイビー」「ハイウェイ・スター」をやって、エンケンだったね。
この日のエンケンがすごかったな。PAが良くなかったのに、熱気がすごかった。「満足できるかな」「踊ろよベイビー」「不滅の男」「カレーライス」、それにアンコールで「東京ワッショイ」か。

「東京ワッショイ」は佐野がベースで、キョウベエがギター、マッドロッカーの野波がドラムというセッションだった。エンケンは血管切れて死ぬんじゃないかぐらいなすさまじい演奏だったし、それに付き合う方も命懸けみたいなところがあるよね。

オレと野波は腕がツリそうになってた。(笑)
それから、中川イサトさん、大塚まさじさん、高田渡さんと続いた。渡さんも「珈琲ブルース」「アイスクリーム」「値上げ」「生活の柄」とヒット・メドレーだった。

渡さんは歌もいいけど、話芸がすごかった。佐野も「談志を越えたな」と言ってたけど、志ん生級だったよね。

やっぱり、エンケンと渡さんはすごいよ。
大阪では喫茶店の「ディラン」というのが音楽の発祥地になっていたわけで、それが松江の喫茶店文化はMGだったんだな。どこか阿佐谷、吉祥寺みたいな中央線沿線文化と近いものがあるよね。というか、そういう影響を70年頃の地方都市はモロ受けていたと・・・。

最後に大塚まさじさんの「プカプカ」をエンケンがハーモニカ、キョウベエがリードギター、中川イサトさんがギター、佐野と渡さんが歌うという二度とないようなセッションだったね。

MGっぽいよなー。(笑)アッちゃんが好きなものが凝縮されてる。
高田渡と山本恭司というのが圧巻だよね。キョウジも矢沢永吉のツアーの合間にすごいよね。キョウベエとエンケンとは、20年前にエンケンが当時やってた店「ワルツ」で演ってるんだよね。
考えてみればキョージもホント大物と共演してきているんだな。
BOWWOW時代にイギリスのレディングフェスの出演はもちろんのこと、エアロスミス、キッス・・・VOWWOWではベースがホワイトスネイクのニール・マーレイだったりしてるしな。

ホテル宍道湖の宴会場で、300人ぐらいのお客さんだったけど、みんな楽しんだんじゃないかな。

その後、高校の同級生と二次会、三次会へとなだれ込み、「金魚姫」で再度演奏をし、翌日は安来で「しまね映画祭」に出席しました。
これでだれか死んだら佐野が「カラオケ」なんて映画作ったからだってメガネに言われたな。
とにかく同級生パワーがすごかったし、後でアズキに電話したら「もう、ふ抜けになってしまった」と言ってた。(笑)なんか学園祭が終わった後みたいだったけど、オレは毎日が学園祭みたいなものだからな。