橘井堂 佐野
2024年3月23日

寺田農さんのご冥福をお祈り申し上げます

ありがとうございました、寺田農さん。

昨年放送された「ウルトラマンブレーザー 」の元地球防衛隊日本支部司令部長官、ドバシユウ役で、その存在感を変わらずに発揮なさっていたのを目にし、大先輩目指して、まだまだ元気でやらねば!と思わされていたところでしたのに。

農さんと最初にご一緒させていただいたのは実相寺昭雄監督「帝都物語」。
若造の僕にとっては雲の上の特撮世界の憧れの俳優さんでしたが、気さくに接してくださったこと、忘れません。
続く「悪徳の栄」「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」でも。
夢のような実相寺組での撮影でした。

次に印象に残っているのは池田敏春監督「くれないものがたり」。
僕は盲目の香道師役で、妖艶な世界に寺田農さんは欠かせません!
農さんとはロケ先の伊豆で部屋飲みしたり、これもまた、忘れがたき日々でした。

一番近いところでは、NHKのドラマ「フェイク」でもご一緒。
骨董を扱う世界でしたが、深みのある世界にも寺田農さんは欠かせません。
心地よい時間が流れていましたっけ…。

けれど、なんといっても忘れられないのは、実相寺昭雄監督の葬儀での弔辞。
農さんの「じっそう…」という、盟友への腹の底から搾り出すような哀悼の言葉には込み上げるものがありました。

実相寺監督や寺田農さんの美意識、ものづくりへの姿勢、今一度、受け止め、こちらはもう少しばかり、形になるよう努めていきたいと思います。

肺がんの闘病、お辛かったことと思います。
今はただ、やすらかにお眠りください。

合掌

橘井堂