橘井堂 佐野
2010年8月2日

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010

埼玉県川口市の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010」 の表彰式が8月1日におこなわれました。
実は、ワタクシ、短編部門の審査員を任されておりました。
無事、審査を終え、発表の場に臨んだのですが、審査を受ける監督もドキドキでしょうが、こちらの責任も重大!
自分の感性を信じ、また他の審査員のみなさんの切り口に耳を傾け選考して参りましたが、その作業は大変楽しいものでした。
・・・つまり、映画をつくること、表現をすることにおいて、何が大切なのかを、自分に問い返す作業ともなり、非常に勉強になりました。
共に審査に当たらせていただいた、審査委員長の桝井省志プロデューサー、映画パーソナリティの襟川クロさん、本当にありがとうございました。
上田清司埼玉県知事、岡村幸四郎川口市長はじめ映画祭実行委員会のみなさん、世界各国からお集まりになった審査委員の方々、スタッフのみなさん、そして、受賞者のみなさん、惜しくも選考から漏れてしまったみなさんにも、重ねて感謝いたします。
共に映画祭に参加させていただいた喜びを糧とし、ワタクシも新たな一歩を踏み出して行きたいと思います。

思えば、映画でデビューした1986年、ヴェネチア国際映画祭に招待していただいたことで、映画は国際共通言語なのだと目の当たりにすることとなりました。
その後、何度か映画祭に出席させていただいたり、海外で映画の仕事をさせていただくこともありましたが、映画は国を越えて、交流できると実感しています。

審査委員長の増田 久雄さん、長編部門審査員の冨永 理生子さん、ヴィッキー・シゲクニ・ウォンさん、ロジャー・ガルシアさんらとも、もっともっと交流させていただけたら良かったな・・・と映画祭の終わりに振り返ったりもしました。

受賞者は下記の通り。

【長編部門(国際コンペティション)】
最優秀作品賞『やがて来たる者(原題)』(ジョルジョ・ディリッティ監督/イタリア/118min.)
・・・みなさん、文句なしに素晴らしいとおっしゃってました!来年に公開される予定のようです。
監督賞『透析(原題)』(リウ・ジエ監督/中国/98分)
こちらも深いテーマながらエンターテイメントとして傑作だとみなさん絶賛!
脚本賞『鉄屑と海と子どもたち』(ラルストン・G・ホベル監督/フィリピン/93分)
審査員特別賞『テヘラン』(ナデール・T・ホマユン監督/イラン、フランス/95分)
SKIPシティアワード『seesaw』(完山京洪監督/日本/70分)

短編部門(国内コンペティション)】
最優秀作品賞『隣人ルサンチマン』(檀拓磨監督/29分)
幼児虐待を題材にしながらも、すがすがしい読後感がありました。俳優たちの演技や描き方、ものの見方・・・かなりリハーサルを積んで撮影に臨んだ・・・という話しを後で聞き、納得!コミュニケーションを模索し、もがき続ける若者たちの姿、かなり嬉しかったです!!
奨励賞『家族デッキ』(村田朋泰監督/22分)
小津が好きで、シュヴァンクマイエルに憧れてアニメーションを始めた・・・佐野の好みだけで選ばれたわけではありませんよ!念のため。
この技量と世界観・・・すぐにでもお仕事、ご一緒させていただきたいです!
   『ゴリラの嘘』(草苅勲監督/30分)
オレオレ詐欺にひっかかる(?)母親役に大方斐紗子さんをキャスティングしているのはズルイ!とも思いましたが・・・いや、あらためて俳優の力って、映画を支える要素の本当に大きな部分を占めるのだな〜と、実感しました。プロアマ、上手い下手ではなく、作品に対する真摯な態度が何よりも一番大切。
この他にも高嶋義明監督の『切符師~SEPPUSHI~』も最期まで選考の対象として意見が交わされました。
『切符師』もそうだったのですが、庭月野議啓監督『イチゴジャム』、泊 誠也監督『不幸買います』など、俳優に対する演技の指示が、徹底して具体的であれば、状況はかなり変わっていたかも・・・?
竹葉リサ監督『夏の移動図書館』は個人的には良質なファンタジーだったと思うのですが・・・?石田肇監督の『KARAKURI』エドモンド・楊監督の『Kingyo』は、映像技術のみならず、世界観の提示の仕方もはっきりしていたと思いましたが、やはり、実験的な印象がいなめなかったかな〜?

クロージングパーティーで、受賞者の方々はじめ、ノミネート作品の監督やスタッフ、キャストの方々とも色々とお話しができ、楽しかったです。
今回は審査員でありましたが、俳優としては才能のある監督と一人でも多く出会いたいのが正直なところ。
「夢みるように眠りたい」でデビューした時のことと重ねてみなさんとお話しさせていただいていました・・・。
上記の監督たち、頭の片隅に覚えておいて損はないかも・・・!

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