橘井堂 佐野
2010年6月30日

能楽師、関根祥人さんご逝去

田中千世子監督の『能楽師』や、撮影中だった次回作のドキュメンタリー映画でもご一緒させていただいた、能楽師、観世流シテ方の関根祥人さんが、6月22日、急性大動脈解離のため亡くなられました。
50歳という若さ・・・。
世阿弥の教えを脈々と受け継いでいる能の世界に触れ、父君の関根祥六さんや祥人さんとお話しさせていただいたなかで、どれほど多くのことを学ばせていただいたことか・・・。
何度かお会いしただけでしたけれど、「動中静、静中動」「離見の見」「秘すれば花」・・・その世界を体現されているお姿にどんなに感銘を受けたことでしょう!
それにしても『道成寺』は圧巻でした。
音と声と舞が一体となった宇宙のなかで、時間はあっという間に過ぎて行きました。
『道成寺』の乱拍子の段、素晴らしかった・・・。
『道成寺』を観た後、嫉妬に狂った蛇の化身・・・「安珍と清姫」の伝説を語りあうなかで、鐘に閉じ込めた僧を蛇が火を吐き焼き殺す下りから、
ゴジラは道成寺から引用されていたことに気づき、ならば、現代能として「ゴジラ」を能でやりましょう!と語り合った一夜のことが忘れられません。
7月3日に予定されていた花祥会で「景清」「石橋 大獅子」などに触れることができると、楽しみにしておりましたのに・・・残念でなりません。

ご冥福をお祈り申しあげます。

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