橘井堂 佐野
2001年2月13日

ミャンマーの蒸気機関車2/1月27日
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★朝いちの蒸気機関車に揺られる乗客。
佐野◆27日は3時半起きでピョンタザ〜ニャウンレーヴィン〜パゾンミャン〜マダウまでの20キロを1時間半かけて朝いちの蒸気機関車に乗って行きました。ちょっと寒くて、空気がポール・デルボーの絵みたいで感動した。

―――早朝の紫色っぽい空気の色ね。

佐野◆それに霧がたなびいて。でも、内部は電気が無いから、暗い中に人が座ってるんだけどね。ナマズ、アナゴ、鶏などを市場に持っていく物売りの人とかいっぱい乗ってた。
 そういう人に話しかけるんだけど、「決められたもの以外は撮らないでくれ」と注意されたり、いろいろ制限があった。
 いつもの調子で、「あっちが面白そうだから、撮ろうよ」というのはなかなか出来なかったね。NHKの人もいろんなところで衝突していた。

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★朝いちの蒸気機関車から降りてくる乗客。
―――日本でも気まぐれに動くから、撮影クルーも大変だっただろうな。

佐野◆日中は暑いから食事時はみんなミャンマー・ビールを飲んでた。ミャンマーは全世界のビールコンテストでも2年連続1位らしく、美味しかったな。ドイツのビール会社が工場だけ残して撤退しちゃったらしいんだけどね。

―――マネージャーの渡邊さんの面白い話というのがあったんじゃなかったっけ。

佐野◆そうそう、早朝狙いで、この日3時半出発だったから前日は3時に目覚ましをかけて9時には寝たの。そしたら電話が無いから、普段は海外ロケだと電話で起こしてくれるマネージャーのナベ氏が「時間だよ、起きてるー」ってドアをドンドンドンって叩くんだよね。
 「ああ、はいはい」って言ったけど、なんだかあんまり寝たような感じがしないんだよ。それで、目覚し時計を見るとまだ11時なんだよね。変だなーと思ったんだけど、あんまり眠いからギリギリに起してもらおうと思って、また寝ちゃったんだよね。

―――まあ少しは余裕をもって起すからね。しかし、マネージャーも大変だね。

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★ロケ地ではすぐに現地に同化し、ロンジーを腰に巻き、御満悦の敏腕マネージャー渡邊さん。
佐野◆そしたら、「ああ、ゴメンゴメン、45分間違えてた。あと45分ある」とドアの向こうからナベ氏が言うの。じゃあもうちょっとと寝たんだよ。
 そしたらまたドンドンドンってナベ氏が来たんだ。でも今度は随分寝たような気がしたの。熟睡するのよ、あの国は! で、ナベ氏が「佐野さん、もう6時廻ったよ」って言うんだよ。「ええっ、6時? 3時起きなんだけどなー」と思って目覚まし時計を見るとまだ1時なんだよね。
 「6時廻った? 何言ってるんだろうな?」と思いつつ、よく寝た気がしてたから、こっちも自信がなくて、歯を磨いてヒゲを剃って移動のために荷物をパッキングしてさあ行こうとドアを開けたの。そしたら、そこにナベ氏が立っていて、「いや、今1時だよね。時間間違えちゃてさ」って。「でしょー!」って話しだよ。(笑)

―――渡邊さん、どうしちゃったんだろうね。(笑)

佐野◆本人によると「この国の磁場がそうさせた」と言うんだけど、かなりおかしかった。(笑)「これ、ホームページに書かれるのかな?」って言ってたけどね。

―――もちろん、載せるでしょう。(笑)

佐野◆「でしょー!」って言ったときの絶妙な感じを写真に撮っておきたいぐらいだったな。ナベ氏はその後笑いが止まらなくなって、自分の情けなさを反芻しながら、旅が終わるまでずっと笑ってた。(笑)
 ナベ氏のボケというのは、近年の中では大事件だった。

(帰国後、何故間違えたかというのを、ナベ氏は時計の図を書いて説明してくれました。どうやら、時計を逆さに見ていたらしい。・・・しかし、それもよくわからない説明だったし、第一3時起きを6時起きと間違えてる時点で、オカシイ。でも、あんなに自信を持って言われるとなー…こっちが間違っているような気になっちゃうんだよなー by 佐野)

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