橘井堂 佐野
2009年10月20日

加藤和彦さんのこと

どうにもね・・・ただ、なんかもの凄く悔しい!!
たくさんの素晴らしい友人に囲まれていた加藤和彦さんだから、他に何か手だてはなかったのだろうか・・・?
と思ってみても、きっとなかったんだろうと思う。
むしろ、よくぞ、ここまで、あきらめずに素晴らしい音楽を作り続けてきたと感服するばかりです。
最新アルバム、和幸の『ひっぴいえんど』だって、ただのパロディじゃないことはすぐにわかりました。
そのなかの遠藤賢司さんのカバーの「カレーライス」、エンケン、「よかった」って、その素直な音を喜んでいらっしゃいましたよ!!
加藤さんのことは、これから、ゆっくり、かみしめて、自分の中で混乱しないように、落ち着いて受け止めていこうと思います。
・・・だって、この人から、「アングラ」って言葉も教わったし、あの12歳の時ににラジオから流れて来た「帰ってきたヨッパライ」に誘われて、今日まで来たんだものなあ・・・。
2006年に監督した僕の『つゆのひとしずく』、加藤和彦さんに音楽監督をしてもらい、本当によかったです。
あの時、荒編集した映像をお渡しして、「じゃあ打ち合わせを・・・」と次にお会いした時には、全曲できあがっていたのにはビックリ!でした。
すごい!すごすぎる!!
植田正治の写真をモチーフにした映像作品、植田さんの写真に、想像のエネルギーが沸き出して止まらないように見えていたのに・・・。

フォーククルセダーズの一夜限りの新結成ライブでMCを仰せつかったり、北山修さん抜きのフォークル-1の京都駅でのコンサートで同じステージに立たせていただいたり・・・。
一緒に食事をしている時も、いつも、本当に楽しかった・・・ニコニコして・・・。
木村カエラさんとのミカバンドの新結成のライブも良かったですよね〜!!!
レコーディング中、ベーシックトラックが録れたのがよほど嬉しかったのか、流出厳禁のはずでしょうが、データを送ってくださったり・・・心許してもらえていたこと、大切にします。
芝居も観に来てくださってありがとうございました!
マン・レイやシュルレアリスムの世界を背景にした舞台、ニンマリしてくださったのも嬉しかったです。
それで「音楽、やりますよ」と、声かけてくださって・・・それで「つゆのひとしずく」に繋がったのですから、加藤さんの懐の深さに、ただただ、感謝するばかりです。
去年、坂崎幸之助さんの番組で公開録画のライブをsanchでやった時にも、鈴木茂さんとの演奏の後、飛び入りでニールヤングの「孤独の旅路」と「カレーライス」やってくれたり・・・。
ローマで「アマルフィ」の撮影中、夜中に電話かかってきて「佐野さん、舞台やんない?」と、思いついたら、すぐに動く人で・・・。
「今、ローマで、オペラ座の近くのホテルなんですよ〜ハハハ」などと、ヨーロッパ好きの加藤さんらしいタイミングだったり・・・。
最後は「和幸」の渋谷でのライブだったです。
CSN&Yばりの、フォークロック全開!で・・・良かったんだけどな〜。
フォークル解散して、ソロの時期の名曲の数々や・・・まだまだやって欲しかったです。

ギター1本で、弾き語りで音楽、今一度やるべきだったと、僕は思います。
あえて、それだけは、加藤和彦さんに言いたい・・・いや、何度も話したんだけどな・・・。

今の世界に、それでも音楽は必要なんですよ!必要としている人がいるんですよ!!!
音楽は、何も、音楽だけが音楽じゃないこと、加藤さんは知っていたじゃないですか・・・。
ああ、やっぱり悔しい!!

でも、加藤さんの音楽は、きっと、ずっとずっと歌い継がれていくことと思います。
この豊かであった、日本のロック、フォーク、ポップス・・・音楽シーンの開拓者たちと共に音楽に触れ続けてこれた幸せを、まずは感謝いたします。

加藤和彦さん、安らかにお眠りください。

photo
★2007年、NHKホール、ミカバンド新結成のライブの打ち上げで。

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