橘井堂 佐野
2010年3月24日

日本映画美術の巨星、木村威夫先生、ご逝去

3日ほど前、木村威夫先生が亡くなられたとの連絡が、ワイズ出版の岡田博さんからあった。
・・・92歳・・・大往生でいらっしゃるではあろうが、木村先生が亡くなるというイメージがどうしてもわかない。

日活の黄金期を支え、その後も鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』などを始めとする凄い美術で日本映画を支えたスゴイ人!!!
監督としても2004年の初監督作品『夢幻彷徨(さすらい)』、長編の『夢のまにまに』『黄金花』と最期までエネルギーあふれる方だった。
『夢幻彷徨(さすらい)』では佐野、石川真希も出演させていただいているが、はじめは、デビュー映画『夢みるように眠りたい』('86)で、林海象監督と共に映画の世界に誘ってくださった恩人である。
『夢みるように眠りたい』の撮影初日、黒頭巾役の僕は、なかなか殺陣がうまくいかず監督をもどかしくさせていたが、何度かテストをくり返すうちに次第に熱くなってきたところを、
「さあ、撮影だ!!」と木村先生が昼食を挟む予定を返上して声をかけ、撮影に突入したことが忘れられない。
最初は「だれだろ、このおじいさん・・・?」と思っていたぐらい無知で無能の僕をスクリーンに誘ってくれた方でもあるのだ。
すべては、あの、先生のかけ声のおかげ・・・。

ありがとうございました、木村威夫先生!
そして、やすらかにお眠りください。

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