橘井堂 佐野
2011年4月12日

シェイクスピア・シアターの看板俳優だった河上恭徳さんの訃報
今日、俳優の渡辺哲氏から連絡があって、河上恭徳さんの訃報を聞きました。
自宅マンションで布団の上にきちんと寝ていたそうです。
事件性はなく、死後1ヶ月位だということ。
静かな顏だったそうです。

河上恭徳さんは、1975年に創立された劇団シェイクスピア・シアター の創立メンバーで看板俳優でした。
僕や渡辺哲氏も、その時のメンバーでしたが、退団後はほとんど顔をあわせることがありませんでした。
80年代半ばまでは、劇団の芝居を時折観に行くこともあり、その時に顔を合わせることはありましたが、彼が退団してからは、河上さんも元劇団員と交流することも、ほとんどなかったようなので、僕も彼と会うことはありませんでした。

僕や渡辺哲氏が素人同然だったのに対し、河上さんは重厚で、朗々とうたい上げる声が圧巻でした。
演技の下手な僕らは、そんな河上さんの周りでコチョコチョと余計なことばかりして、よく怒られてましたっけ・・・。
僕より7歳ぐらい上でしたし。

渋谷の小劇場ジァンジァン。
「ハムレット」「オセロー」「リア王」・・・37本のシェイクスピア劇のほとんどを演じた河上さん、志高く一徹な舞台俳優でした。

演出の出口典雄さんの元、とにかく早く喋ること、滑舌良く喋る訓練を毎日してましたっけ・・・。
ニュアンスとか心情とかは後で、とにかく「変化、速度、内的イメージ」と教わりました。
けど、僕は、すっかりはぐれてしまい、劇団を離れてからは、みなさんと会うこともほとんどなくなっていました。

それなのに、あの、愚直なまでに日々、汗まみれになって稽古していた日々が、今、生々しく思い返されます。
河上さんの存在は大きかった・・・。

ありがとう、河上恭徳さん。
そして、安らかにお眠りください。

合掌。
    平成23年4月12日

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