橘井堂
2012年12月5日

中村勘三郎さんのご冥福をお祈り申しあげます

中村勘三郎さんが亡くなられた。
食道癌の手術の後、肺炎を併発したのが原因とのこと。
あまりにも続く訃報に、滅入るばかりだ。
勘三郎さんとは一度、ドラマ「河合継之助」でご一緒させていただいた。
戊辰戦争で幕府側と朝廷側の間に立ち、中立を唱えた気骨の人物。
私は長岡藩士小林虎三郎役。
二人で議論するシーンのことは今でもよく覚えている。
ただならぬ気迫に押されっぱなしだった。
京都での撮影だったので、撮影終了後、俳優部みんなを祇園に招待してくださりどんちゃん騒ぎをした。
中村勘太郎(現、勘九郎)さんとその前にドラマで共演させていただいていて、勘太郎さんの芝居が素晴らしかったことを告げると、酔った勘三郎さんは「わたしの方がいいんだよッ!!」と、息子さんに対しライバル心をむき出しにしていた姿が忘れられない。
また、勘三郎さんは唐十郎の大ファンで、紅テントの状況劇場に通っていた。
唐さんに歌舞伎の戯曲を書いてもらうのが夢だったと聞く。
唐さん書き下ろし演出の一人芝居「マラカス」を僕が演じた時も観に来てくださったっけ・・・。
僕にとっても状況劇場にいなかったならば、紅テントがなかったならば、こうして役者を続けてなんかいられなかったろう。
そんな奥底の繋がりも感じていた。

勘三郎さんとは同い年。
青春時代の空気も想い返される。
桑名正博さんに続き、同世代の方が亡くなられるのを聞くにつけ、いつ自分にもそういう運命が襲ってくるとも限らない・・・と改めて思う。

毎日を大切に生きなくては・・・。
中村勘三郎さんのご冥福を心よりお祈り申しあげます。

平成24年12月5日
                 佐野史郎

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