橘井堂 佐野
2023年11月1日

犬塚弘さん、ありがとうございました

犬塚弘さんが亡くなられた。
これでもう、クレイジー・キャッツのメンバーは全員いらっしゃらない。

犬塚さんとは、俳優としての共演はないけれど、2015年に、銀座ヤマハで定期的に開催していた音楽トークイベント「音座銀座」のジャズの回、「戦後のジャズと冗談音楽」のゲストとしてお招きした時に、たっぷりとクレイジーキャッツ時代や、そこに至る、戦後の米軍キャンプなどでジャズメントして活躍していた時期のお話しなど、聞かせていただいた。
それこそジャズ喫茶で演奏なさっていた頃のご当地、銀座で、当時を思い出しながらのお話は臨場感があり、まるでタイムスリップしたかのように、生き生きと、当時を感じられたのだった。

振り返れば、こちらも長く俳優や音楽を続けている・・・。
植木等さんとは、ドラマで何度か共演させていただいたほか、「1×1(ワンバイワン)」というテレビ番組で、どっぷり、これまたクレイジー時代のお話を聞かせていただいたことがあったけれど、それほど、僕にとって、クレイジー・キャッツは幼少期からの憧れの、そして芸能の先輩として手本としてきた方々なのだ。
東宝の怪獣映画とともに見続けていた、クレイジー・キャッツのシリーズには、俳優として大きな影響を受けているのだと思う。俳優を志す以前から体に染み込んでいる、間合いやテンポなどは無自覚かもしれないけれど、踏襲してきたように思わなくもない。

ドラマではハナ肇さん、谷啓さんとも濃い時間を過ごさせていただいた。
石橋エータローさんにはお会いしたことはないし、安田伸さんや桜井センリさんとも、同じ現場でもご挨拶させていただいただけだったけれど、憧れの方々とご一緒させていただけたことはかけがえのない財産だ。

そんな中で、ベーシストらしく、周りを引き立てる、けれど、引っ張るときは引っ張る犬塚さんの存在は、クレイジー・キャッツにとって、もちろん、誰一人欠けてもクレイジーではないけれど、あまりにも大きい。
その犬塚さんがいらっしゃらない・・・本当に、昭和は終わった・・・と思ってしまう。
・・・そのくせ、何ひとつ、戦後は終わっちゃいないことも、突きつけられるのだけれど。

「音座銀座」のステージで、犬塚弘さんをご紹介したとき、ご登壇いただくなり、まず、「ハナ、植木、谷、石橋、安田、桜井さん・・・降りてきてよ、傍にいてくれないと寂しいんだ」とおっしゃったのには、胸が熱くなった。
メンバーそれぞれのお話をなさるとき、本当に、傍にいらっしゃるようだった。
今も、体は無くなっても、いらっしゃるに違いない。

ゆっくりとおやすみください・・・そして、またそちらから、忘れてはならないこと、まだまだ伝えてくださいますよう!!!

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★犬塚弘さん、「ハナ、植木、谷・・・」って・・・/写真:森島興一


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★なんともいえぬ、このカンジ!!/写真:森島興一


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★戦後の日本のジャズと歌謡史を振り返りつつ・・・/写真:森島興一


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★真剣に、当時、厳しく訓練を受けていたお話も・・/写真:森島興一


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★面白いお話も、いっぱい!!/写真:森島興一


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★やはり、スターダストの話に・・・/写真:森島興一


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★谷啓さんに、楽屋でスターダストをリクエストすると「またかい・・・」って・・・/写真:森島興一


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★まるで、メンバーと一緒に話してるかのよう・・・/写真:森島興一


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★トークにあたって、戦後からのジャズ、歌謡曲などのリストを準備しておりました。/写真:森島興一


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★楽屋で、犬塚弘さんと。/写真:森島興一

橘井堂