橘井堂 佐野
2002年11月27日

「おかしなおかしなノーベル賞」ロケで初インド!
12月24日(21:15〜22:00NHK総合)に放送の、「おかしなおかしなノーベル賞」で11月、12月は都内ロケも含めて、まあ、時間かけて収録してました。
45分番組に20日間くらいかけたんじゃないかな〜。
リポート番組で、NHKさんの場合、BS、ハイビジョンで、近年はアイルランド、ミャンマーと行きましたが、いずれも、せいぜい10日。
しかも二時間番組ですから、「さすが地上波!! NHK!!!」と唸らざるを得ませんでした。
でもね、だからこそ、NY、ボストン、インドと回れたわけで、ちょっと、こうしてコーナー設けたくなる気持ちも分かりますでしょう?!

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★タキシード姿で象に乗って人生観が変わったという佐野。
アメリカロケは雑記帳に書いてあるので、そちらを覗いていただくとして、ちょいとインドロケのことを……。
あ、その前に、この番組は「イグ・ノーベル賞」っていう、ナンセンスに思われたり、ユーモア溢れる研究に没頭している学者たちに送られるもので、ボストンのハーヴァード大学で毎年、授賞式が行われているのです。
今年は日本から玩具会社「タカラ」さんや、音声研究所の鈴木松美博士たちが平和賞共同受賞なさいました。
本家のノーベル賞で、田中耕一さんと小柴昌俊さんのお二人も受賞するなんてことは、取材を始めた時は考えもしなかったので、ビックリするやら楽しいやら……。
なにしろ、犬語翻訳機の「バウリンガル」が、イグ・ノーベル平和賞ですからね!

9・11の同時多発テロやイラン、イラク問題、北朝鮮の動向等々……一触即発の感もある世界情勢だからこそ、「そんなことやってる場合じゃないだろう!」よりも「少しでも、ユーモアを!」ということなのでしょうか……。
番組としても、ビミョーなアプローチでオモシロイです。

NYのロケ、街頭インタビューではソッポを向かれ、グラウンド・ゼロを前にして、「こりゃ、イカンでしょう」と思い、ボストンの授賞式ではアメリカン・ジョーク飛び交うセンスに戸惑いつつ、それでも、素直に研究する学者たちの態度には美しいものを感じてもいました。
しかし、サイエンティストたちが軍事研究から新しい発見をしてきた歴史も改めて考えさせられ、けれど、それも便利な暮しを求め続けてきた我々が生み出た……と言えなくもなく……。
政情に関しても、正直、アメリカで報道されている情報と日本にいる感覚とは随分違うな……と思いました。

だから、間髪置かずにインドへ入ったのは刺激的でした。
イラク、イラン、アフガニスタン、パキスタン、インドと連なる国々の緊張関係を考えざるを得ませんでしたしね。
政治的な想いはさておき、ここでは、素直に旅行記を……。

まずは父の命日(と同時に祖父が亡くなって34年、同じ日に亡くなったのです)の11月8日に成田を発ち、JALでシンガポールへ。
一周忌の時はミャンマー・ロケでしたから、本当、呼ばれてる感じでした。
トランジットしてシンガポール・エアラインで南インドのコーチンへ。

マネージャーのナベさんはお姉さんがインドの人のところへお嫁に行ったので、親戚の国です。
「北と比べて、南は豊かだ」と連発しておりました。
実際、泊まったのは海辺のリゾートホテル。
食事もバーも言うこと無しで、大名旅行ということになるでしょう。
ディープなインド旅行でははかったのです。

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★イグ・ノーベル賞の数学賞を受賞したシュリークマール博士と。
トリシュールというところにある、ケラーラ農業大学のシュリークマール博士という方が、象の表面積を割り出す方程式をあみだし、それがイグ・ノーベル賞の数学賞を受賞したのですが、授賞式にはいらっしゃれなかったので、我々が取材に出かけたという次第だったのです。

ボストンの授賞式では大ウケでしたが、今回取材して思ったのは、当たり前かもしれないけど、みなさん、大真面目に研究なさっていたということ……。
「象のヒョーメンセキイ〜? ナーニ、研究してんだよお!?」てなノリの受賞会場の雰囲気は、きっと博士たちはお気に召さなかったかもしれません。
彼らは真摯に受賞を喜んで、村をパレードし(正確に言うと番組のために象を引き連れさせられていた……でも、嬉しそうでもありましたよ……内心はワカンナイけど……)大学ではキチンとセレモニーが行われ、僕等クルーも日本からわざわざ駆け付けたジャーナリストとしてあたたかくもてなしていただきました。
何しろ、インドは宗教の国ですから、ヒンドゥーのシンボルである象は神聖な生き物。
象の生態を知ることは、学問としてとても大切なことだったのです。

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★象の公園。
で、ロケでも、僕は神聖なゾウに乗ったり、大学に行ったり、ゾウの公園(といっても宗教的な施設)に行ったり、博士のご家族にお会いしたり……という旅でした。
表面積の計り方を教わったりね。
インド時間に日本人は振りまわっされぱなしのロケでしたが、(移動に1時間……て言ってるのが、実際は2時間半!!! すぐに帰っちゃうし、時間は守らないし、すぐに寄ってきて話するし……いや、ニホンジンがオカシイのです)食べるものも美味しかったですしね(本場のカレーだあ!)……楽しかったですよ。
ただね、お酒飲まないからね、町場のバーにちょいと……てなことはできませんでしたね。
ちなみに、インドのビールは大瓶で度数も8,7度とかなり高い!
KING FISHER、ROSY PELICAN、COOLの3種類があり、ROSY PELICANがアルト系で美味しかったです。

そうそう、新聞記事読んでたら、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントは幼い頃からコーチンを夢見ていたそうです。
なるほどな、それで、ペイジ&プラントはあんなアルバムなんだ……。
で、オトナになって、夢がかない、美しい美しい夕陽を拝んだそうです。
確かに、すっごくキレイな夕陽でした。

それに、熱帯の空気のなか、遠くから聞こえるコーランにも、クラクラきました。
気持ち良かった……。
南はキリスト、ヒンドゥー、イスラム……と混在していたのです。
共存できれば世界平和も不可能じゃないような気もするけど……まあ、それはないんですかね。

帰りはコーチンから、一旦、西のチェンナイ/マドラスまで行き、神社(?)仏閣廻りをして、3回忌の父と祖母の冥福を祈り、シンガポールで乗り継いで、ナリタに着きました。
ヒコーキのなかでは、ずーーーーーーっと寝てて、ナベ氏に呆れられた。

12月24日、観てください!!!

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