橘井堂 佐野
2001年6月4日

南大東島紀行…「ゴジラのいる島」取材旅行4
4月13日(金)

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★大池のマングローブをカヌーで案内してもらう。
佐野◆午前中は昨日の取材を文章にしていったんだけど、結局8話は鍾乳洞の話だけでいっぱいになっちゃった。でも、かなり臨場感があるんじゃないかな?
午後になってから、ホテルの社長と落ち合って、車で島を案内してもらいました。南大東島というのは池がたくさんあって、それが繋がっているようなんだね。その大池はオヒルギが群生しているマングローブになっていて、そこをカヌーで案内してくれたんだよ。大池の中にも無人島があって、そこがダイトウオオコウモリの生息地らしいんだ。上は雨水で淡水なんだけど、下は海水らしいんだよね。

―――マングローブとなるとさすがに日本の風景ではないね。

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★バリバリ岩。
佐野◆淡水と海水で生育するのが珍しいらしいんだ。そういや、宍道湖も汽水だよね……と、また我田引水。それで、昨日自転車では廻れなかった異人穴とかバリバリ岩とか車で案内してもらった後、ホテルに戻ってシャワーを浴びてたら、誰かがノックするんだよ。出てみると「ダイヴィングをやりたいと聞いたので、もしよかったら」と男の人二人が立ってるんだ。
ホテルの食堂のおばさんの息子さんで、今年沖縄本島から帰ってきたばっかりなんだって。その人と一緒に来たボロジノアイランドというダイヴィングショップの小浜さんという人が案内してくれるというので、打ち合わせがてら小浜さんのところで一杯やろうということになったんだ。いやあ、すっかり御馳走になっちゃった。

―――また、芸能人ならではの美味しい話だ。(笑)

佐野◆そうなんだけどね。実際、キハダマグロとかサワラの刺身や、タコなんかがすごく美味しかったんだよ。(笑)小浜さんの奥さんがまた美人なんだけど、小浜さんは「これやっとけ!」みたいに男らしいんだよね。子供をビシっと叱るし、お父さんらしくてカッコ良かったな。奥さんに「オイっ!」とか言って。オレにはそんなこと不可能だからな。(笑)

―――よほど酔っぱらわないと出来ないね。(笑)海の男は違うねー。

佐野◆魚も小浜さんが捌いて、「あとはやっとけ」みたいな感じなんだよ。
それで沖大東島のプライベートヴィデオを見せてもらったんだけど、そこは無人島だからアメリカ軍の演習場として個人が貸し出してるんだって。そこで小浜さんが泳いでたら、ものすごく大きなミサイルというか魚雷みたいなものが浮かんでいて、線はたくさん出ているし、怖くなって届け出たらしんだよね。ドクロのマークに炎の絵までまで入ってたらしい。しかも、"DANGER”って書いてあったって!!(笑)
そしたら、自衛隊と米軍が来て「写真は撮ったのか」「いえ」「じゃあ、よし」みたいなことになったらしいんだよ。大変なことだと思うのに、全然報道されなかったらしいんだよね。小説で放射性廃棄物のことを書こうと思ってたらこんな話じゃない。もうオレの頭の中では、核弾頭だと思ってるもの。(笑)

―――ドクロのマークというのがそれらしくていいなー。(笑)ここで、水中鍾乳洞の話は出てこなかったの?

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★右がお世話になった小浜さん。
佐野◆そうそう、ここで教えてもらったんだ。地底湖があるって。リピーターで5回ぐらい来た人には教えるような穴場らしんだけどね。次の日にそこに案内してもらうことになったんだ

―――また芸能人のメリットだ。

佐野◆昭和29年のゴジラの伊豆諸島や小笠原諸島とは違った設定にしたかったのと、貴種流離譚の匂いもつけたかったので、大東島はまさにぴったりだったんだよね。しかも、小説で琉球と本土の文化が交わっているという設定にしてるから、琉球ではなく八丈島から来た玉置半右衛門が開拓したというのには本当に驚いたね。
その島にしかいない動物としてウミトカゲを小説でも設定したんだけど、それも見たことのないミヤコヒキガエルとかダイトウオオコウモリとかこの島特有の亜種がいたんだよ。

―――ダイトウオオコウモリは超音波を出さないんだっけ?

佐野◆そうそう、夜行性だけど眼が見えるんだよね。キツネみたいな顔でカワイイんだ。英語ではフライング・フォックスっていうらしい。小浜さんのところの小学生の息子さんが連れていってくれたんだけど、校庭の木に集まるらしくて、30匹ぐらいいたかな。すごく大きいんだよね。満月の夜だったし。あれは、一見の価値あり。

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